福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -028/038page

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A子について,いじめられている様子がなかったか十分に観察する必要があったのではないかと反省した。

2. 昼休みに教室のベランダでA子とB子のグループ数名が話しているのを見かけた。
A子は元気がない感じでB子の話を聞いていた。声をかけるとB子は「特に何でもありません。」と答え,A子は無言だった。
学級では,B子のいじめに気づいていた生徒が数多くいたことが最近になって分かった。

学級担任は,忙しい一日の中でもできるだけ生徒と接し,生徒達の交友関係の変化の裏にあるものに気づく「敏感さ」が必要である。

また,いじめを受けている場面を黙認する生徒も問題であるが,いじめが起こる土壌があることも問題であると反省した。

3. 10月上旬から度々腹痛で欠席の運絡があった。欠席は断継的だが,心配した母親から相談の電話があり家庭訪間をした。A子は元気がなく寂しそうであった。
学校のことでなにか嫌なことがあるのではないかという質問には,はっきりとした答えがなかった。
次の日に,登校してきたA子にやつぎばやに声をかけたが相変わらず口数が少なく「学級が嫌なんです。」と一言だけ話すと返事をしなくなった。その後,度々声をかけるがやはり返事はなかった。
学級の2〜3人にA子の様子を聞いてみたり,A子との信頼関係を深めようと面談をしたりしたが,核心には触れることはできなかった。

A子の気持ちを十分に受けとめ共感的に接する,教育相談的なかかわりが必要であった。

学級担任は,以上のことを振り返り,A子とA子の周辺にも視点を当てるようにし,学級の様子にも,今まで以上に気を配るようにした。

(2)[いじめを語るA子]

学級担任は,10月下旬,放課後の巡視中にB子たちによるいじめを発見した。
翌日,家庭訪問を実施した。お茶を飲みながらA子の身体面や表情を気遺いながら話しかけ,気持ちの安定を図ることに時間を費やした。
次に,母親にいじめの事実を伝えた。母親は激怒し「B子やいじめた子供の親に文句を言ってやるわ!」と取り乱した。
母親には,学級担任としてA子のつらい気持ちを受け止め,さらに,B子たちには,A子がどんなに苦しみ悩んでいるかを伝え,自分たちの行為を振り返らせ,見つめ直させる指導をすることを話した。
すると,A子は堰を切ったように泣き出し,いままでのことを話し始めた。「私は,学級のために一生懸命に努力をし


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