福島県教育センター所報ふくしま No.109(H05/1993.11) -033/038page
研修者研究報告(教育研究法 高校)
『効果的に語彙力を伸ばす指導の工夫』
−単語調べノートを利用して−
福島県立福島女子高等学校教諭 山 ノ 内 寿 太 郎
1.主題設定の理由
本校では生徒の95%以上が大学進学を希望しているが,英語に関して言えば,4年制大学に合格するためには,普通5000〜6000語の語彙力が必要と言われる。しかし,3年生の4月に行われた「基礎学力診断テスト」では,現在の語彙力が4000語以上の生徒は全体の約6%,2500〜4000語は約73%,1000〜2500語は約21%と診断された。この数字を見る限り,進路希望を実現するのは困難であり,どうしたら生徒たちに確かな語彙力をつけさせることができるかと考えた。
生徒たちへの調査によると,約75%の生徒がテスト問題の設問分野の中でも語彙力問題を苦手としており,実際に得点率も低い。また,「単語の勉強に時間はかけているが,機械的な暗記に頼っており,なかなか覚えられない」という生徒の多いことが分かった。そこで「単語を覚える際,どのようにしたら機械的な暗記にできるだけ頼らず,効果的に覚えられるよう指導できるか」を研究の中心とし,上記のような主題を設定した。
2.研究仮脱
以上のような趣旨で研究を進めていく際,何か具体的な方策があれば生徒たちも取り組みやすいし,検証もしやすいのではないかと考え,次のような仮説を設定した。
語彙の習得において,興味・関心を高めるために,「単語調べノートを作り,利用させれば,効果的に語彙力が伸びるであろう。
ここでいう「語彙力」とは,大学入試センター試験レべルの語彙,約4000語を指す。また「単語調べノート」とは,従来の単語帳に,単語を印象づけて覚えられるよう,外来語・語源・略語・派生語などの関連内容を自分で調べて記入したものである。
3.検証授業の実際と考察
(1)授業での指導の概要
3年生のクラスで10月に「単語調ベノート」を用いた検証授業を行った。従来のように単に辞書を引いて意昧や発音記号を調ベるという単純作業に比べ,語源や外来語との関係など何でも自由に調べさせたので,生徒たちはかなり興味を持って取り組んだようである。その結果,単に辞書を「引く」だけでなく,辞書を「読む」段階まで意識を高めることができた。また,生徒の中に