福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -007/038page

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P−Fスタディ,バウムテスト

(5) 考察

いつも自信がなく,授業中の学習態度も消極的だったS男に対して,挙手の回数を意識させ,実際に反省表につけさせた。その結果を担任や級友から認められ,ほめられたことによって,S男は自信を高めてきた。その自信の高まりの表れとして,授業に対する積極性が見られるようになり,発表の声も大きくなった。

遊ぴの場面でも友達と対等に過ごしている姿が見られるようになってきている。

バウムテスト

(図2)事前 → (図3)事後

また,バウムテスト(図2,図3)からみたS男の変容については,次のようなことがわかる。

頼りなく見えた木が,大きくまとまりのあるものになっていることから,S男が周りの現実をうまく受け入れて,自分なりの努力をし,結果を出したいという欲求を持っていることを表している。

ソシオメトリックテストの事前と事後の結果は次のようになっている。

○ 被選択 1名→2名
○ 被排斥 8名→2名

以上のことから,指導仮説に挙げた指導援助を行ったことにより,級友がS男を受け入れるようになり,S男も自信が高いまり,心が安定してきたことがとらえられる。

V まとめ

1 研究の成果

シェーピンダ法,トークン・エコノミー法を中心とした指導援助によって,対象児童が設定した目標を次々と達成したことにより,級友から認められるようになり,自信を高めていくことができた。

2 今後の課題

ニ次的情緒障害予防のために,LD児を早期に発見し,適切な教育を受けさせる必要がある。また,教師のLDに関する理解を深めるとともに,LD児をとりまく環境を整備していく必要がある。


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