福島県教育センター所報ふくしま No.110(H06/1994.3) -006/038page
○手先が不器用なため,技能教科では,作品製作が苦手である。
○級友にいやなことをされても.何も言わず言いなりになっていることが多い。
○授業中,挙手することがほとんど見られず,指名しても自信がなく声も小さい。
(2) 資料
WISC‐Rを実施した結果知能は正常であるが,下位テスト間のばらつきが大きいことがわかった。記憶力が非常にいいのに,理解では点数が落ちてしまうのがLD児のひとつの特徴でもある。
また,マイクルバストの児童評定尺度,人物画(図1),ベンダー・ゲシュタルトテストを行った結果から,S男は,LDであると診断された。(医師による診断)
(図1)
更に,現在の心理的な状態をとらえるためにP−Fスタディ,バウムテスト(図2)を実施した結果,人に依存することが多いことと杜会的対応の仕方がかなり幼いこともわかった。
他に,学級の児童が,どのようにS男をみているかということをとらえるために,ソシオメトリックテストを実施した結果は被選択が1名,被排斥が8名であった。
排斤される理由は,性格が暗い,発表の声が小さい,無口等が挙げられていた。
(3) S男への指導援助の方向
S男に対して,シェーピング法トークン・エコノミー法を用いて,授業中の挙手や発表の回数を多くさせ,目標達成感を味わわせると同時に,周囲の児童から認められる指導援助を行うことにより,S男は存在感を味わうことができ,自信を持った行動ができるようになるだろう。
(4)指導援助