福島県教育センター所報ふくしま No.111(H06/1994.6) -016/038page

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文を求めて多読していなければならないし,3人がそれぞれ自作の問題を持ち寄るので,その中から選ばれるのは至難である。しかし,そのことが教師の英語の学力の向上や作問に対する真剣な態度の養成,適切な作問技術の涵養に役立っているのではないか。

(5) 各教科による自発的な早朝・放課後の課外と遅滞者への追試が弱点の補強に役立っている。

(6) 生徒の自主性の喚起

日頃の生活においても自主性を発揮させ,「自律,自立」を強調し指導しているが,大学受験に際しても大いに自主性を発揮させ,難関校に対しても安積高校生の気概をもってあたらせるように見守っている。

3.成果と課題

このような取り組みの中であげられる成果と課題についてまとめてみると次のようになる。

(1) 成果について

1. 生徒の客観的な学力の把握ができたこと

2. 学習の仕方,効果的な学習法の指導のための研究を深めることができたこと

3. 学年のどのレべルの層の学力アップを図るかという的を絞った合宿ができたこと

4. 教材の選択決定のあり方,及びその指導法の研究ができたこと

5. 中・高の教科内容と指導法についての意見交換による情報収集ができたこと

6. オンラインによる入試情報の収集及び恒常的な活用ができるようになったこと

7. 教師の個人として,集団としての学力向上に対する意欲の喚起ができたこと

(2) 課題について

1. 基礎力テストの信憑性についての検討が必要

2. 合宿の成果が生徒の自宅学習時間の増加に結ぴ付いているかの検証

3. 生徒サイドに立った課題の在り方はどうあるべきか

4. 中高連携を強化するために,教科段階での中学校との研究会をどのように組織するか

5. 指導計画にもとづいた教材研究の在り方

6. 市内ステップアップ推進校との連携協議

4.研究の今後の方向性

生徒の学力向上の取り組みは単に進路指導だけの取り組みではなく,学校のあらゆる分野での取り組みにかかっているものである。そういう点から,今後の研究の必要な方向性をあげてまとめとしたい。

(1) 新学習指導要領と大学入試科目出題範囲についての調査研究。すでに新しい傾向がみられるので早急に分折し,その対応が必要になっている。

(2) 生徒の進路希望実現に対応するカリキュラムの編成。現在,教務部を中心に編成の取り組みが行われている。

(3) 教育相談・進路相談を充実させるための方策。このことについて本校では,相談室の確保を含めて検討していかなければならない点である。

(4) 大学推薦入学制度をどの程度まで活用するか。現在,「高い目標」で指導しているが,現実に現場にやってくる「推薦入試」を,生徒の生き方,チャレンジ精神の発揮等の観点から考えてどうあるべきかの検討が迫られていることも事実である。


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