福島県教育センター所報ふくしま No.111(H06/1994.6) -018/038page

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学習意欲も減退してくる。「・・積極的に生徒を介在させる授業の在り方が問われる」として中・高校の「(数学の)授業内容の改善」の必要性を指摘している。小・中・高校の実践報告にもあるように,小〜高校の関連を見通した一貫した教科指導の在り方,「授業の質の向上」が学力向上への課題となる。

教育センターとしては,これら学力向上への課題を受けて,その解決のために次のような調査研究に取り組んでいる。

1.学カ向上の調査研究

県の「学力向上」に向けての教育課題を受けて,県内外から各種の資料を収集し,本県学力の実態を様々な観点から分析研究するとともに,学力向上を阻む要因を洗い出して資料としてまとめ,所内の学力向上へ向けての研究に役立つデータを提供する。

また,一部学校の協力のもとに「教科指導」の在り方を実践を通して調査研究し,教師側からの授業改善だけではなく,生徒の視点からの授業改善のポイントを探り,そこから得た資料を基に研究を進め「授業改善」の方策を練る。

2.研修講座での対応

主として基本研修(初任研・経験I・経験II)講座において前述の調査研究の各種資料・データを提示・説明する場を講座内容に位置づけ,講座においては「新しい学力観にもとづく授業の在り方」についての研修を教職キャリアに応じて深め,「学力向上」をめざした授業の質の向上への働きかけを強める。

3.「学カ診断テスト」の研究開発

「新しい学力観」に基づく授業を展開して実効あるものにするには,児童生徒が基礎的基本的な内容をどの程度達成したかを指導目標に照らして評価し,一人一人の可能性を伸長するのに役立つ資料が必要となる。こうした「新しい評価観」による授業改善に役立てるために「学力診断テスト」の研究開発を進めている。

これらの調査研究の成果については研修講座・所報ふくしま・研究紀要等で随時普及を図っていきたい。

庄司先生は,学力向上に関わる問題についていくつかの問題提起をされた後,「『新しい学力観』に関わってはかなり誤解もある・・それらを克服して21世紀に向けての確かな学力を十分向上させたい」とし「授業の質の向上,授業の充実に勝る対策はない」と提案されている。

3編の実践報告は,校種の違いはあっても「児童生徒の学習意欲の向上」に向けて努力しており,「主体的な学習態度」「自己学習力」の育成が「学力向上」の鍵になるとし,その基盤となる「授業の質の向上」の重要性について多くの示唆を与えていただいた。そこで,次号では「学力向上」への重要な鍵となる「授業」に焦点をあて,小・中・高校を通して広く授業の在り方について特集する方針である。


注1 北尾 倫彦「新しい学力観を生かす先生」図書文化,注2 国立教育研究所・理数長期追跡研究プックレット‐025


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