福島県教育センター所報ふくしま No.111(H06/1994.6) -022/038page

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友達の関心をA男自身に向けさせようとする気持ちが高まっていた。

5 指導援助の方向

A男に対する指導援助を効果的に行うためには,学校と家庭との連携を図りながら次のような指導援助を行うことが必要だと考えた。
<A男に対して>
○ A男と遊ぷ時間を確保して,心の触れ合う機会を多くし,A男の心の安定を図る。
○ 学級内の役割を分担させることにより,責任感を養わせ,学級の一員としての自覚をもたせる。
<学級に対して>
○ 学級全員の交流を深め,A男を温かく受け入れることのできる友人関係の育成に努める。
○ A男の長所を生かした活動の機会を設け,A男のよさを認め.悪化した友人関係の改善を図る。
<家庭に対して>
○ A男と共に遊んだり,A男の話をじっくり聞いたりなど,心の触れ合いが生まれるような接し方を保護者に促していく。

6 指導援助の実際

指 導 援 助 A 男 の 変 容
[A男の心の安定を図る]
○ 放課後,A男とキャッチポールをした後,友達とのかかわりや家庭での様千などについて話し合う。 ○ 担任に進んで話しかけてくることが多くなる。
[A男の活動を認める]
○ さか上がりのできないB男に,必死で教えているA男の姿を記事にして学級通信に載せると共に,学級の児童全員の前で賞賛し,自己存在感を持たせる。 ○ 照れ笑いをしていたが,褒められてうれしいという気持ちを満面に表す。
[学級全員の交流を深める]
○ 生徒指導主事からの助言を得て,月2回,放課後,学級の全員で男女混合チームを編成してサッカーやドッジポールなどを行う。 ○これまで見られたわがままな行動が少なくなり,グループの一員として協力し積極的に活動するようになる。
[実践活動を通して協力と責任を学ばせる]
○ 学習発表会で,A男がやりたい役割を選択させる。 ○ 小道具係を希望し,小道具を作る作業を,友達と協力して放課後遅くまで取り組む。
○ 反省会で,A男の作った小道具の出来栄えが良かったことや友達と協力して作業していたことなどを認める。 ○ これまでの投げやりな態度が見られなくなり,係活動にも根気強く取り組むようになる。

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