福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -004/038page
の段階に分けてみましょう。この4つの段階が教室での授業と家庭学習とでうまくかみ合いながら展開するように教師と子どもとで,学習を統制していきます。以下に,各段階の要点を整理してみました。
気づきの段階: ここでは,自分が学べてないもの,学んだ方がいいもの,学びたいものなどの判断がなされます。そのためには,課題の目標の体系が明確にされ,子ども自身が過去の学習や将来の課題との照らし合わせの作業をします。子どもが学ぶことの意義をつかんだとき,より学ぶことができます。クリニックの子ども達がノートに◎△をつけたのはこのためです。
取り込みの段階: 教材に関する情報が教師から提示されたり,子ども達自身が探し出したりしますが,そのままでは直ぐに忘れ去られてしまいます。それを防ぐには短期記憶から長期記億へ転送しておきます。ワープロで作った文章をフロッピーに保存するようなものです。しかし,人間の脳はフロッピーと違って情報を全部そのままの形で保存したり取り出したりするわけではありません。簡単な情報ですと機械的学習によってそれが可能ですが,複雑な情報は符号化という作業によって,保存しやすく加エされ蓄えられます。また,符号化の手順をたどって再生されます。教師はノートの取り方,話の聞き方を手始めに,上手な符号化のスキルを子ども達と工夫したいものです。
習熟の段階: フロッピーは乱暴に扱ったり,磁気を近づけなければ情報を永続的に保存しますが,人間の脳は時間が経つと,記億が簿れたり,変質したりする危険があります。それを防ぐには,ときどき取り出してチェックします。また,より速く,より正確に作動するようにしむけなければなりません。また,それを使ってより高度な課題に取り組むことも望まれます。
この段階の活動は,補助教材を使って家庭で行われることが多いのですが,速くか,正確にか,高度化か,自分の必要に応じて活動を選べなければ,時間の浪費になってしまいます。
実行の段階: このように蓄え,熟成されてきた情報は,生活の様々な場面で活用さます。とりわけ,学校では試験の問題を解くために活かされることが期待されます。試験のための準備や試験場面での解答作業のためのスキルを身につけることが要求されます。
この段階での成果についての評価の結果が,気づきの段階へとルーブして,学習の過程はつぎつぎと循環します。
これまでの授業でも,教師から情報を伝