福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -008/038page
特 集 ザ ・ 授 業 II
新 授 業 ヘ の キ ー ワ ー ド
○真学力 の向上を目指す授業前号の特集「学力向上」で,「
真学力 の向上への重要な『鍵』は授業の質の向上であり,それに勝るものはない」との貴重な提言をいただいた。しかも,その授業は,新学力観の求めている授業でもある。新学力観に基づく授業とは,「生きる力,学ぶ力の基礎としての意欲(関心・意欲・態度)を学力の軸にすえ,児童生徒が主体的に問題をとらえ,自ら思考し,判断し,追究していく探究過程として構成されたもの」と言われている。
真学力 の具現を図るために,教師として留意すべきことは「まずもって,一人一人の児童生徒が意欲的に取り組む授業づくりをどうするかであり,自ら考え,判断する力をどのように育て,授業で児童生徒の出番をどれだけ保障するか」にかかっている。いわば,「新しい授業」へのキーワードは,児童生徒が主役の授業ということになる。第112号〜は,この「新授業」を取り上げ,いくつかの視点から「授業」の在り方を探るために特集したものである。
○ 「新しい授業」を考える視点(1) 教師が児童生徒の立場に立つ授業・・・・・・学習主体性の重視
発達段階に沿って,児童生徒一人一人が主体的に学習活動に取り組み,その過程で自らの願いが実現できる授業である。
(2) 児童生徒が自ら探究過程に取り組み
学習の過程で意志決定が行える授業・・・・・・追究態度の重視追究活動の中で,試行錯誤を繰り返しながら,自ら判断し解決する体験から,学び方を学んでいく授業である。
(3) 具体的活動や体験から,身体全体(五感)を通して学ぷ授業・・・・・・全感覚的活動の重視
体験的活動は,児童生徒ー人一人の個性や能力のすべてを傾け,五感を通し主体的に学べる授業である。
(4) 集団の中で,児童生徒一人一人の存在が認められる授業・・・・・・他者との関わりの重視
学習活動で,他との協力活動を行い,一人一人が集団にかかわる役割を果たすことにより,自分のよさや可能性に気づく授業である。
これらは,
真 学力観に基づく「新しい授業」の在り方を考えるキーワードともなる。では,「新しい授業」では,具体的にどんな「授業」が求められているのだろうか。中学校の数学・理科・英語の3教科の授業を取り上げ,その考え方の一端を紹介する。