福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -011/038page
2 こ れ か ら の 理 科 の 授 業
(1) 児童生徒が主役児童生徒は,教師が見ている以上に良さや可能性を持っている。あの生徒は能力がないなどという教師がいたら,それは残念ながらまだまだ児童生徒を見通していないのである。新しい学力観が言われている今,教師は児童生徒の理解を今まで以上に求められるようになってきた。そして,教師は児童生徒を主役にし,愛情を持って活動を支援するのである。
理科の授業では教師の驚き,好奇心,興味,関心等を表現して導いていくと,児童生徒の探究する意欲が盛り上がり,主役の活動が始まる。教師が教えていた知識を主役自身が獲得していくように支援する教師になると,「何度言ってもわからないのか」から「なるほど(と感心して,その方向はいいぞ!)やって見なさい」と主役の考えに共感して活動させ,良いところを探しほめることができるピグマリオンのような教師に変わるのである。
(2) 探究する意欲を盛リ上げる1. 導入段階の工夫
これからの理科の授業は,検証的でなく,探究的にすすめたい。また,児童生徒の考えやひらめきを生かす授業にしたい。
そのためには,これからの授業の目標や内容が分かり,結果の予測や学習方法について見通しが立つようにする事が大切である。それには話し合いをする中で各自の予想,学習の目標や見通しなどを立てさせる方法がある。
例えば,落下運動の導入で「重力の加速度を求めてみよう」と言えば落下運動は等加速度運動であることが前提になり,等加速度運動を検証する授業になる。「落下運動はどんな運動か調べてみよう」とすれば授業は途端に探究的になるのである。
さらに「ようしやってみよう」と導くために,生徒の興味・関心を引くような実験を行って問題点を提示したり,普段何気なく見過ごしている自然の事象に目を向けさせ,「なぜかな?」と思わせたりすることが大切である。これは日常実践されているが,ともすると導入での面白さが展開につながらないこともあるので注意したい。
2. 展開段階の工夫
展開が検証的になると,方法が画一化してしまいがちである。探究する意欲を持つて主体的に活動するように導くためには,児童生徒の疑問や考え,異なった視点からのひらめきなどを生かしたい。
そのためには,資料や辞典などの調べ方,器具の使い方,実験・観察の記録の取り方,実験結果の整理の方法などの基本的な知識や技能が必要である。計画的に学習訓練と指導をしなければならない。
落下運動を調ベる実験では,どのようにして調べたらよいかを提案させ,実行可能なものについて実際に実験を進める。自分の考えに基づいて活動をすれば,自分の考えに自信を持つことができる。自己決定さ