福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -012/038page
せることが大切である。この時,教師は指導するのでなく,活動を見守り,支援する。生徒がうまくいって満足感と成就感を味わうとき「ほう,よかったね」と共感しながらほめる。教師はあくまで脇役なのである。
意欲を持って活動するためには,児童生徒一人一人にできるだけ異なる題材を与える。それが難しいなら,一部同じでも一部違う題材を,それも難しいときには同じ題材で一人一人が学習できるように準備する。観察や実験ではそれが可能である。例としてモジュール学習があるが,自由にさせ過ぎて困る場合もあるので注意したい。
意欲を盛り上げるためには話し合い,考えを練り上げる活動が必要である。活動の中から生徒は自ら考え,自ら自然界の規則性を発見することができる。「おもりの重さとパネの伸びにはどんな関係があるか調べてみよう」では,各班の実験結果をパソコンで処理してLANシステムで各班に送信する。瞬時に各班の結果が見られる。それをもとに話し合い,規則性を見つけだす。自分の班の結果に自信が無い場合でも,他の班の結果を見れば規則性が分かるし,自分達の実験方法のまずさに気付き正しい実験法を学ぶことができる。また,パソコンを使うことで話し合う時間を確保できる。
3. 終末段階の工夫
今まで終末では,何を理解したか,どのような知識を得たのかの確認が多かったが,どのような考えのもとにどのような活動を行ったのかという学習の過程を振り返る時間を確保したい。思考力を育てるためには,学習の過程が大切である。
学習した結果が身のまわりの自然の理解に役立つことをおさえる。「ああなるほど,そうだったのか」という思いを持つとき,児童生徒は学ぶ喜びを感じるのである。
学習したことから新たな疑問やひらめき,考えが生じたら,それは次の段階の導入になり,発展学習での追究する意欲につながる。例えば小学校の「ものの燃え方と空気」の実験では,空気を入れないで加熱すると燃える気体が出て炭ができる。そこでは「炎ができるのは木から燃える気体ができるから」とまとめる。このとき「木」を「炎をあげて燃えるもの」に一般化すれば「紙ではどうか」「他のものではどうか」などの疑問が出てくる。それが発展学習につながるのである。
(3) おわりに探究する意欲を盛り上げるには,興味・関心を持って意欲的に学習に取り組ませ,認知面が高める,そこから新たな興味・関心を引き出し次の学習につないでいく,という過程を計画的に進めることである。
(科学技術教育部 理科教育係)