福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -013/038page

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3 こ れ か ら の 英 語 の 授 業


(1) はじめに

生徒に英語を学ぶことの意義について調査すると,入門期においては「英語で外国人と話したいから」という回答が圧倒的に多い。しかし,英語の学習が進むにつれて,「何のために英語を勉強しなければならないのか」と疑問を持ち始める生徒が増えてくるという傾向にある。

言うまでもなく英語教育が目指すものは,コミュニケーション能力の育成と国際理解の基礎を培うことである。このことは国際化の進展に対応し,国際杜会に生きるために必要な資質を育む役割の一端を担っていることを意味している。

「英語で外国人と話したい」という生徒の動機は,生徒が意識するしないにかかわらず,コミュニケーションを通して,外国人の考え方や見方,文化に直接触れたいということを示唆しているのである。これは英語教育が目指すものと同じである。

英語教育が担っている役割を踏まえながら,英語の授業の在り方を考えてみたい。

(2) INTERACTION か潜在する授業

英語の授業の一般的な展開として, 1復習,2新教材の導入,3新教材の理解,4練習,5まとめ, が挙げられる。

1から3までを理解を中心とする学習活動,4を言語活動ととらえると,「生徒が学習すベき事項をなかなか理解できないために,言語活動の時間が取れないで困っている。」というような問題が起こる。この原因は学習活動と言語活動を切り離して考えているからではないだろうか。この授業は,視点を変えれぱ5つのステージでなく学習活動から言語活動へという2つのステージで構成されているのである。

これからの授業には言語活動も含んだ学習活動,そして学習活動を含んだ言語活動を1から5のステージに適切に取り入れる必要がある。言い換えれば技能・知識を理解してから,その後で使用するというのでなく,理解しながら使用し,使用しながら理解し,次のステージへと進むのである。

こうした授業に欠かせないものに INTERACTION がある。相手を理解し,自分を理解してもらおうとするところに INTERACTION が生まれる。INTERACTION を通しながら学習活動があり,言語活動が営まれることが大切なのである。INTERACTION は,授業の中で先生と生徒,生徒と生徒の間でコミュニケーションが行われることで生まれるのである。

INTERACTION に欠かせないポイントを2点挙げてみる。

1. 関心・興味を引く話題であること

生徒が主体的に取り組むためには教材の扱い方を工夫し,生徒に興味・関心のある身近な話題であることが必要である。その話題を通して,生徒は様々な知識や言語表現等に接し,思考したり,判断したり,類推したりしながら,言語能力だけでなく総合的な能力を働かせるのである。その際に個に応じるという観点からも生徒の特性や個性に配慮する必要が


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