福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -015/038page
4 「 新 授 業 」 先 進 校 の 紹 介
「あたらしい授業」の在り方をめざして優れた研究実践を展開している学校のいくつかを紹介する。
(1) 「大泉プラン」の実践東 京 学 芸 大 学 附 属 大 泉 小 学 校
大泉小学校は,「自己学習能力」の育成をめざした研究を9年間にわたって続けている。研究は,学校生活のすベてを学びの場とし,自ら学ぴ・学び合う学習の場として四つの学習(広め学習・つみあげ学習・はげみ学習・深め学習)を設定し,子ども自身による活動の開発努力から,子どもを核とした学習活動の開発と自己変革の追究へと発展し,「意欲」と「学ぴ方」を明らかにすることにより「子どもが創る学習」(授業)を追求している。
この「大泉ブラン」の特色は,「深め学習」にあり,これは「子ども一人一人の興味・関心から生まれた個性的なテーマについて,自分の特性を生かした方法で追究する体験的な総合学習」である。つまり,広め・つみあげ・はげみ学習で培った自己の学びの力を,存分に発揮できるのが「深め学習」(授業)なのである。
(2) ティーム・ティーチングによる実践秋 田 市 立 築 山 小 学 校
この学校のT・T方式による授業実践は,30年間にわたって行われている。特に,平成3年度からはT・Tによる「新学力観に基づく授業の具現化」をめざし,実践を積み重ねてきている。まず教師の意識改革を図るために,指導計画の立案から学年ティームの協働作業を実施し,T・Tの実践力の基盤づくりを行っている。その上でこの学校の特色は「子どもの学ぶ心と学ぶ力を拓く」ことをめざし,「授業改善の十項目」を目標にかかげ,実現をめざしているところにある。
授業は,マスタリーラーニングの手法を取り入れ,これをT・Tによる協業と分業によって実践している。まず『第一次学習』により課題把握・問題解決に迫る個別学習,グループや全体で練り上げる学習・吟味学習により,子ども自身が自らの意思で問題に取り組む過程を特に重視している。
この『一次学習』を基に『第二次学習』を展開する。これは多様な学習課題(学習コース)が設定され,子ども自身による選択・決定により学習が行われる。時には異学年の組み合わせによる学習(授業)も展開されるなど,新しい試みに意欲的である。
これら二つの学校に共通しているのは,呼ぴ方は異なるが,基礎学習を基にして,発展学習の中で,子どものよさ・個性を存分に伸ばそうとしていることである。
(3) 多様な学習システムによる実践埼 玉 ・ 杉 戸 町 立 広 島 中 学 校
この学校の実践も10年以上の実績がある。