福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -016/038page
「授業」への取り組みは,基礎・基本をどの生徒にも身にっけさせるための習熱の程度に応じて学習スタイルを自ら選ぶ「習熟の程度に応じた学習」がまず基本になっている。それを基に,共通学習の範囲の中から,自らの興味・関心に応じて選択した課題を解決する「課題選択学習」がある。さらに「教科選択学習」により,教科そのものを自分で選択し,自己のよさ・とりえを伸ぱし,それらの学習で身についた「自ら学びとる力」を具体的に生かす場としての「総合体験学習」がある。つまり,習熟の程度に応じた学習・課題選択学習・教科選択学習・総合体験学習などをシステム化し,生徒が「学ぶシステム」づくりをめざしているのである。この学校の実践の特色は,とかく学校にこもりがちな中学校の学習(授業)の場を,自然や地域の中に積極的に求めようとしていることである。
(4) 選択学習の拡大による実践東 京 ・ 新 宿 区 立 戸 山 中 学 校
この学校では,「生徒一人一人の個性やよさを発見し,それを伸ばす」ために『選択教科履修』の幅を拡大していくとの方針で実践を進めている。ともすると,選択履修幅の拡大は,必修時間を圧迫し,受験指導に影響するとの理由で,消極的になりやすいが,この学校では,「この研究実践の最大の成果は,教師の意識の変革であった。『教え込みの授業,与える授業』から『生徒のよさを伸ばすための授業』へと変革したことである」といっている。つまり,選択履修幅を拡大することをバネとして,授業の変革を図ったということになる。
この学校の実践の特色は,1年の英語科から選択学習を取り入れていることである。AETとのティーム・ティーチングにより,英語学習の入り口として多様なコース別学習を設定し,生徒の興味・関心を図っている。このことは,2年からの教科選択学習の基礎ともなり,効果が上がっている。ただ,校内スタッフとAETだけでは対応しきれず,ボランティァによる外部指導員の協力が不可欠となっている。
(5) 未来を拓く学カを育む授業の改善財 団 法 人 ・ 教 育 調 査 研 究 所
これは学校の実践ではない。21世紀に向けて,中学校教育をどう改善したらいいのかについて文部省外教育調査研究所が研究し,研究紀要60号にまとめ提案したものである。
「新しき教育の流れは,授業そのものの問い直しから始められる。教師の授業に対する意識の変容を基盤において,教授内容方法・形態等多くの研究と実践が求められている。その決めてとなるものが評価の改善である。」とし,これからの授業は,評価を支えとして,一人一人の生徒が主体的に学習に取り組める『楽しい授業』即ち,「生徒が参加できる授業」「わかる授業」にすることだと提案している。
(学校経営部資料係)
(参考文献)
教育展望 臨時増刊No.25 子どもにひらかれた学校II・臨時増刊26 豊かな学力の育成 I 教育調査研究所 研究紀要60号