福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -020/038page

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学年の協力体制をつくり,生徒の喫煙を改善に導いた事例

1 はじめに

中学校2年生のA男は,自宅や友人宅で隠れて喫煙を繰り返していた。その延長で学校でも喫煙し,その喫煙が発覚して指導援助が開始された。本事例は,指導援助の過程で集団による喫煙がわかったので,生徒指導主事を中心とした臨時の校内組織がつくられ,問題行動の改善を図った事例である。

2 問題の概要

○ 夏休み明けの9月初旬,清掃中に男子便所からたばこの吸い殻が見っかる。数日間の現場の観察や生徒の情報からA男の喫煙が発覚する。

○ A男らは,夏休み中にB夫宅(母屋から離れた部屋)に集まり,C雄も含めた三人で喫煙を繰り返していた。(A男,B夫,C雄すべて第2学年)

○ A男の喫煙は,小学校のときから始まったもので,喫煙歴は4年に及ぶ。祖父のたばこをいたずら半分に喫煙したことがきっかけである。

○ 夏休み中,A男の自宅での喫煙が彼と交友のあるB夫,C雄らに広まり,夏休み以降,学校でも喫煙が続いたことが明らかになった。

3 A男のプロフィール

(1) 家庭環境

<祖父>(67歳) ・毎晩晩酌し,アルコールが入ると粗暴になる。
<祖母>(65歳) ・内職をしながら,A男ら兄弟姉妹の面倒をみている。
・A男らには厳しく接する。
<父親>(43歳) ・長距離トラックの運転手で自宅を空けることが多い。
・子どもたちのことは祖母任せ。
<母親>(39歳) ・A男が4歳の時に離婚し現在は所在不明。
<長兄>(17歳) ・高校2年。
・兄弟姉妹への心配りが細やか。
<次兄>(15歳) ・中学3年。
・学校内外で問題行動を繰り返している。
<妹>(11歳) ・小学5年
・学校を休みがち。

(2) A男の性格行動

・粗暴な言動が目立つが,学級のなかは人気者である。
・学習態度にむらがあり,集中して学習を続けられない。
・係や委員会活動は他人任せで,協力して取り組むことが少ない。
・運動は好み,部活動(野球部)には積極的に参加している。
・交友範囲が広く,帰宅後,複数の

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