福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -027/038page

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研 究 紹 介


基本的生活習慣が確立されず孤立傾向にある児童に,
行動療法を用いて集団への適応力を高める指導援助

教 育 相 談 部 佐 藤 米 子



I 主題設定の理由

小学校低学年の中には,幼児期に家庭でしつけられているはずの食事,排泄,着脱衣,清潔などの基本的生活習慣が定着されないまま入学し,集団生活に適応できずに孤立傾向におちいる児童がおり,問題となっている。基本的生活習慣は,学校などの集団生活にうまく適応していく上で,必要な行動様式であり,児童が心身ともに健康な毎日を過ごすためにも身につけておかなければならない大切な習慣である。そこで着脱衣の基本的生活習償が十分に身につかないで集団生活に適応できずにいる児童に対して,形成化法とト一クンエコノミー法を取り入れ指導援助をすることによって基本的生活習慣を定着させ集団生活に適応できるようにしたいと考え,本主題を設定した。

II 研究仮説

基本的生活習慣が確立されないまま学校生活をおくり,孤立化傾向にある児童に対して,行動療法の中の形成化法とト一クンエコノミー法を併用して取り入れ,段階的に望ましい行動を認めたりほめたりして強化していく指導援助を行えぱ,基本的生活習慣の定着が図られ,集団への適応力を高めることができるであろう。

・形成化法とは
一定の目標行動に至るまでの行動を段階的にスモールステップの形で設定し順次これを遂行させて,最終的に目標行動を獲得させる方法。
・トークンエコノミー法とは
一定の課題を正しく遂行できた時,あらかじめ約束した条件に従ってトークンを報酬として与え,目標とする望ましい行動を強化するシステム。

III 研究方法

1.形成化法とトークンエコノミー法の理論や技法を研究し,指導援助に生かす。

2.児童の実態を把握するために諸検査を実施し,その結果を活用する。

3.これまでの観察記録や諸検査の結果から指導援助の方向を明確にする。

4.形成化法とトークンエコノミー法を併用した指導援助を進める。

5.対象児童(小学2年M男)の変容を考察する。

IV 研究の実際と考察

1.M男の問題の概要

○ 身の回りの整理ができなかったり,先生や友達の手助けがないと着替えができなかったりなど,当然身につけておくべ


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