福島県教育センター所報ふくしま No.112(H06/1994.10) -031/038page

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研修者研究報告


想像豊かに読む力を育てるための物語文の指導

〜 音 読 の 指 導 を 通 し て 〜

小 高 町 立 小 高 小 学 校 金 谷 清 子



I 主題設定の理由

1.研究の動機とねらい

1年生の物語文の指導では,何といっても楽しく読み味わう体験が大切となる。楽しく読むということは,話の筋の展開や場面ごとの登場人物,場面の様子などを想像しながら読むということである。こうした楽しい読みを実現する過程において,読む行為としての関心,意欲,態度は一層高められ,易しい読み物を進んで読もうとする読書力の育成にも役立つようになる。

今次の学習指導要領では,特に「思考力や想像力を養うこと」が新たに加えられている。また「音声言語による表現力は従前以上に重視すること」とあるように,音声言語による表現と理解の密接な関連も強調されている。物語文の指導において,こうした趣旨に応えていくためには,より豊かに想像を働かせ,内容を読み取ることのできる読み,すなわち,音読による想像豊かに読む力を育てる読みのあり方について見直していく必要があると考えた。

2.問 題 点

(1) 人物の気持ちや場面の様子を想像しながら読むことが足りない。

(2) 会話文を工夫して読ませるための手だてが不十分であった。

(3) 文章を繰り返し読んだり,しみじみと味わったりする活動が不足していた。

II 研究仮説

1.仮 説

物語文の学習において,次のことを取り入れて指導すれば,音読することに喜んで取り組み,楽しさを味わうことを通して想像豊かに読む力を育てることができるであろう。
(1) 会話文を人物の気持ちになって読むために,読み比べ,役割読み,動作化を工夫する。
(2) 場面の様子を想像しながら読むために,自己評価を工夫する。

2.仮説のための理論

(1) 「想像豊かに読む力」とは

物語に登場する人物の気持ちや場面の様子を叙述に即し,それぞれの児童が思い描けること。ここでは,「くじらぐも」と子供たちの様子を想像しながら楽しく音読し,「くじらぐも」の世界に入り込めるようにしたい。


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