福島県教育センター所報ふくしま No.113(H07/1995.2) -020/038page

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テレクラ遊びをする女子生徒(中2)の事例

1 はじめに

この事例は,親への不満や進路についての不安を紛らすためにテレホンクラプ(以下,テレクラと略記)に電話をかけ始め,それが常習になり,ついには性交渉を持つまでになったA子に対して,両親や担任が早期の対応をしたことによって改善に向ったケースです。

2 問題の概要

○ ある日,郵便受けを何気なく見るとテレクラのチラシがあった。A子は家に誰もいなかったので遊ぴ半分で自宅から電話をかけてみた。すると電話に若い男性が出てきた。親に対する不満,好きなタレント,映画のことなど2時間近く話しを読け意気投合した。A子は,この日以降テレクラ遊びを頻繁にするようになった。電話口ではとりとめのない話を長々と続け,ついには電話相手と会う約束をし,気乗りしない性交渉を持ってしまった。

○ A子の様子がおかしいことを感じた母親は,A子のバックの中をみると,財布に多額の現金とコンドームが入っているのを発見し,心配して担任に連絡してきた。

3 A子のプロフィール

(1) 家庭環境

<父親>(40歳) ・サラリーマンで単身赴任,月に二度帰宅する。
<母親>(38歳) ・生活が苦しいためパートに出て忙しく働いている。
< 弟 >(10歳) ・小学校5年生。成績優秀で運動も得意である。

(2) 日常の観察から

・係活動などでは自分の役目は果たすが協力的な態度はとれない。
・学習意欲がなく,授業中よく爪をかじり集中できない。
・家庭では無口で,一人で部屋にいることが多い。
・弟と比較されることを嫌う。
(母親からの話では,幼少時よく泣き何事も不安がる傾向があった。)

4 診 断(問題行動の背景)

A子が問題行動を起こした背景には,本人・保護者・学校それぞれに問題が考えられる。

(1) 本人

A子にとって家庭は安らぎの場とはならず,逆にストレスだけを与えられる場であった。また,その悩みを打ちあける友達もなく,とくにこれといった特技や趣昧もなく,ストレスを発散することはできなかった。これらのことから,幼少時から不安を抱きやすかったA子は,ストレスがたまりやすく心の限界に達していたと考えられる。そんなA子の悩みや不安を紛らわせてくれたのがテレクラの電話であった。また,A子は優柔不断は性格から相手の男性から


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