福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -005/038page

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いとその多様性を上げることができる。実 証的・具体的な学習を推進する際,例えば自然現象の観察を取り上げた場合,地域に よって自然環境は異なり,同−の事象といえども扱い方は異なることになろう。国際 理解を取り上げた場合,周囲に外国人がいる場合とそうでない場合とで,文化の違い についての指導の仕方は異なるであろう。しかし,自然の観察法,国際性を養ってお くことは重要なことである。生きて働く力を育成する場合,内容は異なるけれども, 普遍的に認められる学び方を身に付ける指導を位置付けることは大切なことである。

 第2に,個人の特性の多岐・多様化とそ の拡大化をあげることができる。これは,社会の変化によって,個人間に認められる 興味・関心,適性,能力等の違いは覇者になり,多岐・多様化が著しく進行している ということである。また,個人の経験も多岐・多様化を認めることができるというこ とである。これらを考慮すると同一の地域の子供といえども,学び方には違いが認め られ,それに対応した個人的な学び方の指導を位置付けることは大切なことである。

 ところで,子供の学び方の違いを認める 場合でも,例えば各教科で強調される学び方については,基礎的・基本的な内容とし て身に付けさせる必要がある。

 最近,中学校では事例を取り上げて学習 させる授業が行われている。これは個性教育重視の表れで,小学校でも,その影響を 受けてか,学習内容を選択して学習させる例が見られる。中学校では,事例の選択を 可能にして学ぶことを認めているのは,事例の具体的な内容についての理解はそれぞ れ異なってもよいということである。しかし,大切なことは,事例を学習する際の切 り込み方については共通に身に付けさせることが期待されているということを忘れな いことである。事例学習が終了した場合,生徒が習得した切り込み方については,他 の事例の学習で活用できるようになることが期待されているのである。

 事例学習では,事例の選択を認めるとと もに,学び方,例えばどのような観点から切り込むかを自由にした場合,各教科の学 習は成立しないと考える。事例学習では,興味・関心を基に学習させる場合でも各教 科の学び方の習得ができるようにする指導を位置付けることは大切なことである。

 なお,事例学習の場合,学び方と学習内 容の習得とともに,基礎的な知識については必ず身につけていくようにする必要があ ろう。例えば,地域学習で,地域の学び方,地域の理解とともに,地域の説明に必要な 基礎的知識の取得も大切にする必要があるということである。

4 感性の教育の重視

 学較教育というと,知・徳・体の調和の 取れた人間形成を目指すといいながら,潜在的には,理性の教育,知性の教育が重視 され,具体的には,読み,書き,計算を重視する教育観から脱却できず,知識中心の 教育と批判されることがある。

 この問題に関連し,建築家の黒川紀章氏


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