福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -007/038page
いるもので,その紹介はここでは省略し,感性の育成の重要性の指摘にとどめたい。
感性の教育は,理他の教育とともに個性教育上極めて重要であり,意図的に感性を 育成する場を設ける必要があると考える。
5 授業改善のポイント
(1)目的意識を明確に持たせる授業
豊かな学力を育成するには,子供自らが学習活動に積極的に責任を持って取り組めるように配慮することである。それには,長期的・短期的な展望を持って学習活動に取り組ませる必要があり,単元等,毎時間等の学習目標を明確に持たせることと,学習活動に当たっては,自ら学習活動の計画を立て,それによって進行できるようにする経験を積ませることである。
実際の授業では,主体的に学習活動を展 開させることを強調するのであれば,何を目標に学習しているか質問されても,明確に答えられるようにすることである。その経験を蓄積すれば,自ら計画を立てて学習する場合には,目標を設定することが重要であることをまず考え,それを実行できるようになるであろう。
(2)学び方を身につける授業
授業では,個別学習,小集団学習等,多 様な学習形態で学習することが認められるが,どのような学習形態で学習しようとも一人一人が学び方として,普遍的に言われている方法,個々に適した方法を駆使できるようにするとともに,各教科の学び方を駆使できるように配慮することである。それには,絶えず自分の学習について計画性を持って取り組ませ,何を学習するかばかりでなく,どのような方法で,どのように学習を進めて行くかについても考慮に入れて学習する経験を積ませることである。
実際の授業では,学習したことを発表し合う場合でも,それぞれの学び方に関心を払うようにする指導を行うことである。その経験を蓄積すれば,自らの学習を統制・管理できるようにするという自己管理能力を育成できるであろう。
(3)学習活動に目を向ける授業
一人一人に厳しさとあたたかさとを身に付ける学習活動ができるよう配慮することである。それには,教師の指導の手だてが一人一人に可能なだけ向けられるようにすることである。子供は,自らの学習目標の実現に向け学習していることから,その学習活動が認められることを期待しているといってよい。そのような子供に対し,教師は,一人一人の学び方,学習内容,基髄知識の有無に目を向け,それぞれの状態を診断し,それに対応した処方を下すようにすること,また,一人一人に豊かな感性を育成できるようにするため,それぞれに認められるよい点を承認していくようにすることである。その経験を蓄積すれば,子供は学習の厳しさとあたたかさを身に付けるこ とができるであろう。
【参考文献】
黒川紀章著 共生の思想1991 徳間書店 辰濃和男著 文章の書き方1994 岩波新書