福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -008/038page
特集 児童生徒と学力向上
学 習 指 導 部
今年,本センターでは,基本研修一日目 の「講話」の後に15〜20分程度の時間を取り,「本県における学力の実態とその対応」 と題する全体講義を行った。内容は本県の高校生の「センター試験」など各種テスト 結果に表れた学力の分析を中心に,「進路実現を可能とする学力」の低迷に関するも のである。小・中・高等学校全ての基本研修受講者を対象として実施した。
このような試みは初めてのものであった が,多くの反響を得ることができたことは幸いであった。この「特集」をお読みの先 生方の中にも,聴講された方は多数いらっしゃるものと思われるが,どのような感想 を持たれただろうか。
講座終了後の「感想記録」は,担当者は もちろん 本センターの全所員が興味深く読ませていただいた。真撃な感想を多数お 寄せいただいたことを,この場を借りて深く感謝したい。
最も多かった「感想」は,例えば次のようなものである。
「福島県の学力が他県に比べて高いと思 ったことはなかったが,『学力向上』と聞くと詰込みばかりやるような気がして,正 直なところ抵抗があったのは事実である。しかし,本県の高校3年生の『センター試 験』結果や各種テスト結果の分析を見て,ちょっとショックを受けた。ここまで低け れば,対応策を考えるのは当然だし,自分も,うかうかしてられないと思った」 (小学校教員)
小・中・高等学校を問わず,このような 感想は広く共通するものだった。教育上の課題について,校種を越えて共通の問題意 識を持つことはなかなか困難なことであろう。しかし,この「学力向上」については 校種を越えた問題意識の共有が,ある程度までできたと,評価できるのではないだろうか。
しかし,一方では,次のような指摘もあった。
「『学力向上』は,新しい学力観の立場 に立って考えるのだという。また,学力は『進路実現』を踏まえたものでなければな