福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -022/038page
協力体制をとり,児童の内面に目を向けて指導援助した事例 1 はじめに
この事例は,「いじめられっ子」の気持ちを理解し,支えるとともに,「いじめっ子」の行為の背景にあるものも理解し,学年の協力体制のもとに,適切な指導援助を工夫しながら実践したものです。「いじめっ子」「いじめられっ子」としての関係を改善していく過程で,学級全体としての望ましい人間関係を図っていったケースです。
2 問題把握とその概要
○ 担任は,Y男の母親から「ほっペのと ころが赤く腫れあがっているのでどうし たのか聞いたのですが,転んだとしか言 いません。背中にもつねられたような跡 が無数にあります。いじめを受けている のではないでしょうか」という電話を受 けた。早速家庭訪問することを告げた。
○ 電話を受け継いだ教頭先生から「興奮 されていたようだ。学年主任にも話をし てから出掛けて下さい。いじめのようで すし学年の中でよく協力して対処すると いいですね」という助言を受けた。
○ 母親とY男から事情を聞いた。なかな か本人は話をしてくれなかったが,母親 やY男からの話をまとめると,同じ学級 で同じ登校班のN男からいじめを受けて いたという。ひじで腹を打たれたり,顔 に墨を付けられたり,カバンを持たされ たり,お金を要求されたりしていたとの ことであった。
3 Y男とN男について