福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -023/038page

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4 基本的な対応

 緊急の学年会を開き,いじめ問題の経過について報告するとともに,学年間でその対応について話し合いを持ち,次のような指導援助を行うことにしました。

(1)Y男の側に立って気持ちを共感的に理解し,Y男をしっかり支える。
(2)いじめっ子のN男からも事実関係を確認する。また,N男の不満や不安定な心の訴え
  も十分に聞いて,内面に目を向けた指導をする。
(3)Y男への迅速,適切な援助を行い,両親の不安,不信を取り除き,連携を密にする。
(4)N男の両親に事実を知らせ,適切に指導するよう助言し,連携を密にする。
(5)学級内では,傍観者等をつくらないための指導を行う。
(6)他の学級の先生はY男やN男に対して,積極的に温かい支援をする。

5 指導援助の実際

Y男への指導援助 Y男の家庭に対して
○ 「そう,そんなこともあったのか。Y男君はうんとがまんしていたんだね」と,話を聞きながら,うなずいたり,復唱したり受容的に接し,安心感を与えて,Y男の心をほぐしていった。
 (Y男は少しずつ,今までのことを話してくれた。)
○ 前年度まで担任をしていた教師からはY男への声かけを行った。
 (Y男はにこやかに応え,うれしそうだっ た)
○ 母親の思いを十分に聞くとともに,打ち明けることもできなかったY男の気持ちを伝え,Y男を支えて自信をつける対応について助言した。家庭訪問を繰り返し行い,  両親の協力を依頼した。
 (「子どもが先生方みんなに声をかけていただいている。すこし安心した」と母親が話していたということを他の父兄から聞く)

N男への指導援助 N男の家庭に対して
○ N男の弁解を否定することなく聞くことに心掛けた。
 (事実について話してくれたし,N男の劣等意識や背景を理解できた)
○ 「N男君は元気にあいさつしてくれるので気持ちがさわやかになる」と,○○先生が話したことを帰りの学活の時に話題をあげた。
 (みんなに認められ,てれくさそうな様子が見える) ○ 3回目の個別相談の時は,相手を思いやる心を育てる意味で「あの時,N男君はどんな気持ちだった」と
○ 母親から,N男と二人でY男の家に訪問 したことの報告を受けた。
○ N男の内面に目を向けてみることに話題 を置き,母親の思いを十分に受容しながら 話し合った。
(母親は元気を取り戻し,N男のことをも っと考えてやらなくてはという気持ちに なっている)
○ 父親には,N男の心の安定を図るために

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