福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -024/038page

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 投げかけ,いじめに直面させた。 (いやな気持ち,悪いことをしたと思っていると話す)  できるだけN男と遊ぶように助言した。 (お父さんと魚釣りをしたと話している)

学級への指導(「傍観者」「観衆」が存在する学級の雰囲気を改善する指導)
 意図的ゲーム
○ 学級の成員としての意識を高めるゲーム
・二人組で楽しく話しながら肩叩きをし合う。
・7人一組で手をつなぎ,人間知恵の輪遊びをした。どこの班が早く相手の知恵の輪をはずせるか競い合った。
・二人一組で相手の話を聞き,相手の特技やすばらしいところなどをみんなに紹介し合った。
 ロールプレイング(役割演技)
○ 因っている者に対しどうあるべきかを考える
・「転んで立てないでいるお年寄りがいます。そこを通りかかった私はどうするでしょう。A君がお年寄り, B君とC君は通りかかった人。さあ,実際にやってみよう」その後で,A,B,C君から演技をした気持ちを聞き, みんなで語り合い,また,役割を交替してすすめた。

6 まとめ

 以上のような指導援助を進めてきた結果いじめ問題は解決に向かい,Y男,N男とも級友と一緒に明るく活動するようになりました。これは,問題の発生に対して,担任教師がいじめを受けた本人及び保護者の気持ちを真剣に受け止め,即時対応したこと,また,学年会を開き,学年全体の協力を得て,適切な指導援助を工夫し,適正な対応をしてきた成果と考えられます。

 これからも,Y男に自信をつけ,N男を認め励まし,望ましい学級集団の醸成に努めていきます。

いじめ問題に対する児童生徒への指導援助の留意点
○ いじめの事実を知った場合,両者を呼び説論するとか仲直りさせようとしたり せず,いじめられっ子の気持ちを一対一で十分に聴き入れる。いじめられっ子に 多少問題があったとしてもサポートすることを優先する。
○ 学級全体へは,いじめを許さないという態度で指導する。傍観者,観衆はいじ める側にエネルギーを与えてしまう存在になることを教える。
○ いじめ,いじめられっ子はともに疎外感を抱いていることがある。内面を理解 し人間関係を築く創作活動や奉仕活動などを通して,喜びや感動を実感させる機 会を設ける。
○ 学校全体で一致協力してきめ細かに対応し,教師の姿勢としては子どものレベ ルまで降りて,子どもたちとともに過ごす時間を多くするよう心掛ける。

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