福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -028/038page
的な指導により向上する部分と考える。
「情報手段の理解と操作能力の習得」では,「基礎」,「操作」等のリテラシーの部分がかなり向上した。授業での活用が少ないにもかかわらず,これらの因子が向上したのは,学校においてパソコンに触れる環境が整備され,活用する場面が増加してきているからだと思われる。
<中学校3年生>
グラフからみて分かるように,全ての因子に向上が見られる。生徒達に活用させた期間が,実質6カ月程度であることを考えると,リテラシーがある程度備わっている生徒群に対し,意図的,計画的に活用の機会を与えることは情報活用能力を育成するのに有効であると考えられる。
(2) 教師側の分析と評価
事前の調査では,全体的に自己評価が厳しく,ほとんどの因子がマイナス傾向を示していた。特に,「活用方法」が調査項目中最も低い値を示し,情報教育に対する教師としての不安を浮き彫りにしていることが読み取れた。
本研究において,校内研修体制や研修の位置付け及び授業での実践を重視してきた結果,各因子が全体的に高まり,教師の不安が取り除かれ,情報教育に対する意識の変容が見られた。
III おわりに
これまでの経過から,情報教育を進めるに当たっての視点をいくつか挙げる。
1 研修組織,体制の確立
教育課程の中に意図的,計画的に位置付け,全職員で推進できる体制を整えて教師のリテラシーの向上を図る。また,授業研究を中心にすることが実技的な効果を生む。
2 ソフトウェアの整備
「ソフトがないからできない」ではなく,K中学校の例のように身近なソフトをいかに効果的に活用するかも含めて,学校の実態に応じた整備をすることが大切である。
3 学習環境の整備
生徒のリテラシーが向上しない限り授業での活用は望めない。意図的な整備の中で,生徒が自由に触れ親しめる環境作りが大切。
最後に,今回の研究に際して,教師側の情報活用能力の調査という新しい試みにもかかわらず,ご協力をいただきました諸先生方には深く感謝申し上げます。