福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -029/038page
研 究 紹 介
学校不適応生徒への援助の在り方に関する研究
一グループ・エンカウンターとカウンセリングを通した援助一
教育相談部 飯 島 裕 人
1 研究の趣旨
不登校生徒は相変わらず増加の傾向を示している。また,各学校には不登校状態に陥ってはいないものの学校に不適応感を持っており,何らかのきっかけで不登校に陥ると考えられる生徒数はかなり多いと思われる。
しかし,現状では実際に不登校に陥ったり,問題行動があったりする生徒のみの対応に追われていることが多い。
そこで,本研究では,学級の生徒に対して,実態調査によって,学級集団の実態を把握し,グループ・エンカウンターとカウンセリングを通した援助を行い,生徒の学級への所属感を高め,学校不適応感を持つ生徒をなくしたいと考え本主題を設定した。
2 研究の内容
○ グループ・エンカウンターとは
グループ・エンカウンターは,ファシリテーター(促進者)が用意したエクササイズ(演習)で作業や討議をする方法で,児童生徒同士が本音と本音で心の交流ができるようにさせるものである。○ 研究の流れ
(1) 生徒理解のためにアンケートによる実態調査
(2) 調査の結果分析から指導計画作成と指導対象生徒の抽出
(3) 学級集団に対してグループ・エンカウンターによる指導援助
(4) 指導対象生徒に対してカウンセリングによる指導援助
(5) 研究評価3 研究の実際
◇ 実践学級 中学校2年
男子19名 女子19名 計38名(1)実態調査
1.(丸囲み) アンケートの内容
○ アンケートI
生徒の「心の状態」をみる調査であり,以下の6つの項目からなる。
・健康(健康の維持・増進)
・安全(安心して学校生活が送れる環境)
・所属と愛情(学級に暖かく受け入れられる環境構成)
・自己理解(客観的な自分自身への理解)
・自尊(自分自身への自信と誇りの育成)
・将来への向上(将来への目標を持っての努力)○ アンケートII
学校不適応感を調査したものであり,以下の4項目からなる。
・学校不適応の「状態」をとらえる調査
・学校不適応の「意識」をとらえる調査