福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -032/038page

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4.(括弧) 指導対象生徒に対してカウンセリングによる指導援助

○ Y子へは,アンケートの結果を踏まえて指導にあたる。また,学校不適応感を強く持っているので,その背景を探りながら,教師との信頼関係づくりを重視する。指導する時間は放課後とした。

5.(括弧) 研究評価

1.(丸囲み) 指導援助A

 エクササイズ後のアンケートや感想から,グループ・エンカウンターに対して肯定的な感想を持ったものが学級の約90%に達していた。学級内において『級友が自分を肯定的に受け止めてくれる』そんな温かい人間関係が芽生え始めていることがわかった。また,エクササイズのなかで自己理解・自己受容が促進され,自尊感情が高まり,さらに安心して,自己主張・自己開示・自己表現ができている様子もうかがえ成果をあげた。

2.(丸囲み) 指導援助B

 Y子は,担任教師とのラポールが図られ,自分自身の問題を教師と共に考えるようになった。担任教師は「気づき」を大切にしたカウンセリングを行った。その結果,安定した学級生活を送るようになり,集団活動へも積極的に参加した。

4 研究のまとめ

(1) 生徒理解

 アンケートI・IIから,普段は把握の難しい生徒の心の健康状態や学校不適応感の状態が明らかになった。

(2) グループ・エンカウンター

 楽しいエクササイグを中心に,体験的に集団のよさを知り,所属感を味わったり,自尊心を高めたりするグループ・エンカウンターは,学校不適応感を軽減することに役立った。

(3) カウンセリング

 集団への援助と並行して集団活動に参加できない個人に対して,カウンセリングを行った。このことは,集団への援助にも効果をあげた。

(4) 学級と個人

 生徒理解を基本として,グループ・エンカウンターとカウンセリングを並行して実施した。このことは,学級集団へは,個人を温かく受け入れようとする土壌を作りだし,個人には,集団へ適応しようとする気持ちを持たせるよい機会となり,生徒の学校不適応感の軽減につながった。

5 今後の課題

(1) 生徒一人一人の内面理解を深めるために,アンケートのみならず,多面的に生徒理解を行う必要がある。

(2) グループ・エンカウンターに関しての研究を深め,さらに幅広い充実した実践を進めていく必要がある。

(3) 実践期間を延長し,対象を広げ,継続した研究を深めていく必要がある。

<参考文献>

「人間づくり」 瀝々社 國分康孝 著  「構成的グループ・エンカウンター」 誠信書房 國分康孝 著


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