福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -033/038page
研修者研究報告
納得できる数理を獲得し,学習した満足感を味わえる指導法の研究
−フリートークや確かめの場の設定を通して−
会津若松市立鶴城小学校教諭 林 泰 嗣
1 主題設定の理由
高学年になるにしたがって,挙手する子どもが限定され,数人の子の話し合いで授業が進み,一時間の中で一回も話さなかったという子が多くなる傾向がある。私が担当したクラスもその例にもれず,算数の学習に対する意欲の低さを感じていた。
しかし,子どもの意識を調査したところ次のことがわかった。
(1)算数をわかるようになりたいと願っており,しかも,自力で解決しようとする意識があること
(2)自分から発言しようとする意欲を持つ子が多いこと
<表1>算数科に対する意識調査(%,3.3%=1人) つまり,問題は子ども側の意欲にあるのではなく,その生かし方にあることがわかる。たしかに,発言する機会は,見通しを立てる段階や自力解決後の練り上げの場面であり,ふとした思いつきや疑問などを気軽に話せる場は少なかったと思う、また,他の人の説明を聞いただけでわかったつもりになってしまう傾向があり,子どもの算数に対する自己実現への支援が不十分であったと反省させられる。
そこで,どの子にも自分の考えを出し合える場と,比較検討の中でよいと指摘された考えをそのまま受け入れるのではなく,自分自身でもう一度確かめ直し,納得のいく数理を獲得させる必要があると考え,標記の研究主題を設定した。
2 研究仮説
(1) 仮 説
算数を学習した満足感を味わえない子に対して,フリートークの場や確かめの場を与えていけば,納得できる数理を獲得させることができ,学習した満足感を味あわせることができるであろう
(2) 仮説の説明
1. 「フリートークの場」とは,自分なりの考えが見つかったとき,自由に席を立ち,お互いの考えについて話し合う場のことである。主に自力解決後に設定し,自分の考えを確かめたり認められたりする場を与え,自信がもてるようにする。また,話し合うべき内容を子ども自身が発見することも期待している。
2. 「確かめの場」とは,発表された考え