福島県教育センター所報ふくしま No.114(H07/1995.3) -035/038page
では,教師とともに話し合いながら考えをつくっていき,もう一方では,自分達でそれぞれの考えについて比較検討することができた。そのことにより,進度に応じて学習を進めることができた。
その結果,本時では,22人の子が話し合うことができ,自信につながったと答える子も16名見られた。また,妥当性の検討の場面では,「○君の考えについて話し合いたいと思います」という発言もあり,話し合う内容を子供達自身で見つけることができるようになってきた。
(フリートークに対する感想から) A男・・・c・d・eの考え
自分で考えたいので、フリートークはしなかった。うるさいときもあるけど,
自信をつけたり,他の人の新しい考えを知ることができるのでよいと思う。
B女・・・c・dの考え
Mさんと式のことについて話した。表を見ると私のと違ったので,考えさせられた。
フリートークは,他の人の考えなどがわかってよいと思う。
2. 確かめの場について
妥当性の検討,比較検討後,15分の確かめの場を設定した。まず,a〜eの中でよくわからない考えに取り組むよう指示した。全てわかった場合は,自分がよいと思う考えで別の問題に取り組み,その考えについて自己評価できるようにした。
(納得する考えについて) 考え 自力解決の場で考えた人数 よいとおもった考え 確かめ後の考え A男,B女の考えの変容 a 4人 3人 11人 A男(c,d,e→c→c)
・比や表,1を求める考えでやったけど,比はあまり理解できな かった。表や式でやるとしっかりわかった。
B女(c,d→b→a)
・比の考えをたしかめてやったけど,やりにくかった。1を求める考えで取り組んだら,やりやすかった。
b 4人 6人 5人 c 15人 15人 14人 d 10人 5人 0人 e 1人 1人 0人 A君のように「自分で選んだ考え=納得する考え」となる子も11名いたが,考えが変わる子も20名いた。子どものまとめに,「もう−回全部の考えをやってみると,○君の考えが一番いいと思った」とあるように,体験を通すことによって,考えが変わることがわかる。
ただ、納得する考えは、自分が理解できる範囲内の考えとなるので,比の理解が不十分な子にとっては,その考えは納得する考えに入らない危険性もある。そこはきちんと指導する必要がある。
3. 満足感について
(意識調査の結果から) 自己評価のレベル 8月 10月 A男とB女の感想 4 満足している。 4 17 A男(8月は2,10月は4)
・表でやればだいたい求められると思う。
B女(8月は2,10月は4)
・確かめをして、前より自信がついたし,問題も解けたので満足した。3 だいたい満足。 17 9 2 あまり満足していない。 10 5 1 満足していない。 0 0 フリートークと確かめの場の設定によって,A男もB女も満足度2のレベルから4のレベルヘ変容していた。全体で見ると半分以上が満足していると答えている。説明を聞き理解する学習ではなく,主体的な体験の場を設定することによって,満足感を味あわせることができるものと考える。
4 研究のまとめと今後の課題
フリートークや確かめの場の設定により,納得する数理を獲得し満足感を味わえる子が多くなってきた。ただ,「自信がついた」と答えている子も,それが即座に挙手にはつながらないようである。やはり,最終的には「確かな学力」が真の満足感に結びつくものと考える。
今後は,場に応じたフリートークの活用の仕方,基礎・基本の定着のための確かめの場のあり方を更に研究し,確かな学力が身につき,真の満足感が味わえるようにしていきたい。