福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -010/042page

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た時の子どもたちのあの生き生きした充実感あふ れる顔・顔・顔。そして,全身ずぶぬれとも見え たB教論のあの笑顔。

 生活科は,「ひとり立ちへの基礎を育てる」こ とを目標としている。授業者は,学ぶことへの子 どもたちのこだわりに沿ってどこまでの許容範囲 を持って学習させていくことができるかを教師は 常に問われていることをここで学んだ。決して雨 の中でも何でも,子どもの計画を優先して,実施 すべきだということを授業者B教論も言ってはい なかった。

(3)活動の喜びを味わわせる図形の授業
               (中学校2年一数学)

 中学校の数学の授業は,数学という教科に対する好き嫌いや学力の差などから,生徒の学習意欲の差が大きくなり,学力の差もますます拡がる傾向にある。

 こんな中,D教論は「どの子にも対応できて, 学ぶ喜びを感得できる授業」という目標を掲げ, 第2学年の図形では次のような授業実践を行った。

 D教諭は,まず図形学習の問題点として,図が 教科書や黒板に「既にある,描かれている」こと に問題があると考え,提示する図をゴムひもで与 えることを考えた。

 生徒は図が固定されたものでなく,可塑性に富むものであるという意識を持つことができ,下位の生徒は具体的な操作を通して,また上位の生徒も提示された図をさまざまな形に変形させ,発展的に考察していくことができた。

写真

 小学4年生ごろからどんどん差が大きくなる算数・数学の学習で一番苦しんでいるのは,できるようになりたいと思いながらなかなか思うようにならない生徒自身である。D教諭の数学の授業は子どもたちにとって楽しい授業になっている。

4 何か1つ変えれば授業のすべてが変わる

 今見てきた教師の授業は「何か」を感じさせるものがあった。それは,「変わらない」という授業とどこかが違っている。そのような違いを生み出すものは何だろうか。

(1)児童・生徒理解 「見る」から「看る」へ

 K教諭の「書くことの指導」,B教諭の「雨の中の『まちたんけん』」,「ゴムひもの図形」も,教師主体の一方的な計画・実技ではなく,児童・生徒の「できるようになりたい」「こんな学習をしたい」「こんなふうになれれば」という授業に寄せる願いや思いを理解していればこそ,それを何とか実現させてやりたいという取り組みになっているのである。雨の中で「まちたんけん」をしようとはじめから考えていたのではなく,その日その日の学習で,一人一人がどんな活動をし,次の学習に何を期待し,何を願っているか,この子は明日何をしようとしているかをきちんと理解して,次時の構想を練り直すことから生まれている。

 したがって,授業改善のために強く求められるものは,まず, 目の前で学習する児童・生徒をよく見つめ,とらえること (児童・生徒理解)である。そのために一番大切なことは,学習する子どもの姿を教師が自分の目でよく「見る」ことである。どんな姿勢(態度)で取り組んでいるか。どんな文字でノートしているか,どんな話し合いをしているか,集中しているか,今日はどんなこと


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