福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -019/042page
連載コーナー
あ な た も カ ウ ン セ ラ ー
教 育 相 談 部
115号 「仲間はずれ」「無視(シカト)」への指導援助
116号 「相手が嫌がることをする,させる」への指導援助
117号 「身体への直接攻撃」への指導援助本年度の「あなたもカウンセラー」の連載では, 現在深刻な問題になっている『いじめ』を3回シ リーズで取り上げます。
『いじめ』が大きな社会問題となったのは昭和 60年前後のことで,その後は減少しました。しか し,平成6年11月に愛知県でいじめを苦にした自 殺が発生し,いじめは,いっそう深刻化し,憂慮 すべき問題となっていることが明らかになりまし た。
平成元年から平成5年までを見ると,県内のい じめの報告件数は減少傾向にあります(図1)。 本年3月に行われた総点検でも,報告されたいじ めは87件(小学校30件,中学校34件,高校23件) と更に減少しています。
ところで,平成6年度の県教育センター教育相 談部に来所したケースを見ると,不登校の相談119 件のうち,46件にいじめが見られます。その中で も,小学校でのいじめの割合が78%と高くなって います(表1)。このことから,県内のいじめの 報告数は減少傾向にありますが,潜在的にはむし ろ増えているとも考えられます。
最近のいじめの特徴としては,次のような点が挙げられます。
1.勉強ができる,運動が得意であるなど,あら ゆる子どもがいじめの対象となっている。
2.遊び感覚で悪いという意識がない。
3.執拗かつ陰湿化し,巧妙になっている。
4.加害,被害の子どものほかに,これらを取り 巻く「観衆」や「傍観者」の子どもの集団が存 在する。
(図1)県内のいじめの報告件数 (県教委義務教育課調べ)
(表1)不登校に見られるいじめの割合 (県教育センター)
小学校 中学校 高校 合計 不登校の件数 23件 61件 35件 119件 いじめの割合 18件 19件 9件 (78%) (31%) (26%)
46件 (39%)
本号では,「仲間はずれ」「無視(シカト)」にあった小学生への指導援助の事例を紹介することにします。