福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -020/042page

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「仲間はずれ」「無視」のいじめ解決に向けて指導援助した事例

1 はじめに

 「仲間はずれ」「無視」型の特徴   
○ いじめの態様別割合
 小・中・高全体では20%と3番目,小学校 では27・8%と最も多い。中でも3、4年生 の児童に高い割合で出現している (平成5年 度文部省初等中等教育局調べ)。
○ いじめる側の心理       
 遊び感覚で相手の困る姿を見て楽しみ,い じめの意識は希薄である。   
○ いじめられる側の心理    
 身体的な被害は少ないが,孤立化によって 深い心理的ダメージを受けやすく,不登校な どの重大な事態に追い込ま れることもある。
○いじめられやすいタイプの子ども
 ・不潔な感じのする子
 ・わがままな子
 ・動作の遅い子
 ・気の弱い子

 本事例は,早期発見と適切な指導援助により,「仲間はずれ」「無視」が解決された,小学校4年生女子のケースです。

2 問題の概要

○ 2学期半ば,担任は,最近S子の表情が暗く,極端に無口になっていることに気づいた。

○ 注意して観察すると,学級の子どもたちに,S子を避けている様子が見られた。

○ 担任との面接で,S子は「A子たち数人の女子に無視されている。みんなも,それを知っていて,仲間はずれにする。 毎日が地獄のようだ。もう、学校なんか来たくない」と、胸の内を訴えてきた。

○観察と面接から、S子に対する「仲間はずれ」 「無視」のいじめは、よく言われる四重構造であることがわかった。

《S子へのいじめ四重構造》
S子へのいじめ四重構造

3 指導援助の方針

 担任を支援し,全職員で取り組むことを確認し,以下の指導援助の方針を立てた。

(1)S子には,仲間はずれによる孤立化から著しく傷ついている心、の安定を図る。

(2)A子たちには,いじめを行う原因である本人たちのストレスを解消しつつ,S子の辛さに気づかせる。

(3)学級には,互いを認め合う学級づくりを通して,S子の孤立感を強めている「観衆」や「傍観者」をなくす。

(4)家庭には,事実を正しく伝え,解決に向けて連携を図る。


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