福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -021/042page
4 指導援助の経過
(1)S子への指導援助
担任が,無視による狐立で傷ついた心を十分受 け止め支えた。S子の心の痛手は深いものであっ たが,相談を繰り返すうち,表情の固さが徐々に とれてきた。
<S子>
「一人ぼっちは嫌だ」
「毎日、休もうと思った」
「また友達と話せるかな」<担任>
「そう、一人は辛いよね」
「よくがまんしたね」
「先生はあなたを応援するわ」(2)A子たちへの指導援助
A子たちにS子をいじめている自覚はなかった。担任は,A子たちの不満や不安にも耳を傾けながら,S子の気持ちについて考えさせた。A子たちも,S子を心理的に追いつめていた自分たちの行動を振り返り始めた。
<A子たち>
「S子はぐずだから嫌い」
「親が勉強しろと騒ぐの」
「S子も辛いのかな」<担任>
「遠慮せずに話してごらん」
「みんな、何かいらいらしてない」
「S子はどんな気持ちだろうね」(3) 学級全体への指導援助
担任は、学級全体で互いを尊重し認め合う雰囲気づくりに努めた。以下は、望ましい人間関係づくりのロール・プレイングの例である。
<担任>
「三人一人組みになって,
お腹の痛い人,隣に座
っている人,そばで見
てる人になって,自由
に演技してみましょう」子どもたちの感想から
「ちょっと恥ずかしい」
「親切にされると嬉しい」
「優しい言葉をかけて
あげたい気持ちになった」人間同士のかかわりを体験する活動を重ねる中で,次第に,相手の気持ちに注意を払い,自分の態度や言葉を見つめ直す子どもが増えてきた。
(4) 家庭との連携
S子の両親の辛さや苦しみを受け止めつつ、学校の取り組みについて具体的に説明し、連携を図るため話し合った。