福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -023/042page
研究紹介
英語科における表現力の基礎を育てる音読指導の工夫
学習指導部 長期研究員 畑 中 豊
1 はじめ
日常の授業における音読の場面で,生徒が発表 している姿を思い浮かべたとき,その生徒はいき いきとした表情で発表しているだろうか。それを 聞いている周りの生徒は関心を持って聞いている だろうか。入学時の生徒も,3年生も同じように 意欲を持って取り組んでいるであろうか。これら の問いに対して“Yes”と答えるためには,教師 はどのような課題意識を持って指導に当たらなけ ればならないのであろうか。
この研究は,中学校英語科の指導で広く行われ ている音読の現状と問題点をさぐり,それらを改 善するための工夫として,「教科書の対話文の話 し手や,対話が行われている場面を生徒が自由に 決めて音読をする活動」(Situation Reading; 命名筆者)が有効であるかどうかを,実践授業を 通して明らかにしようとしたものである。
2 音読の現状と問題点
中学生は,音読に対してどのような意識を持っ ているのであろうか。次のグラフは教育センター の学力向上プロジェクトにおいて,県北地区の中 学生を対象に行った「中学生の学習に対する意識 と行動」からの抜粋である。
好きな言語活動 大切だと思う言語活動 「聞くこと」,「話すこと」,「読むこと」, 「書くこと」の4つの言語活動のうち「読むこと」 への関心が最も低い。
さらに,授業中の活動の中で音読を楽しいと感 じる生徒は1割程度であり,他の活動と比べて最 も低いこともわかった。
英語の授業で楽しい学習 この原因として次のようなことが考えられる。
○意味もなく機械的に行われており,単調である。
○音読が授業の最終日的と考えられている。 (チェックポイント)音読の大切なねらいのひとつは音声と文字の結びっきを確認することであるが,そのレベルで終わっていない か。
○段階を追った音読指導がなされていない。(チェックポイント)1年生の音続と3年生の音読を比べて違うのは語彙や文型のみで,