福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -027/042page
研究紹介
CAI学習ソフトウェア(理科)と学習記録分析ソフトウェアの開発
〜個別学習におけるコンピュータの活用〜
科学技術教育郡 鈴 木 昭 夫
I 主題設定の理由
今日 学習指導の在り方として「個性を生かす 教育」とともに「基礎的・基本的な内容の定着」 が叫ばれている。基礎・基本の定着を図るために は個別学習が有効であり,それには,コンピュー タを活用したCAIが適している。
また,CAIの学習記録を分析することにより 児童・生徒一人ひとりの誤解やつまずきが把握で き,個別学習をさらに有効に進めることができる と考えられる。
以上のことから,CAI学習ソフトウェアと学 習記録分析ソフトウェアの開発を研究主題とした。
II 研究のねらい
1 中学校理科の学習内容で,生徒がつまずきやすく,定着の悪い単元のCAI学習ソフトウェ アと,学習記録を分析するためのソフトウェアを開発する。
2 開発したソフトウェアを実際に試行し,データを収集・分析することにより,ソフトウェア の改善点と有効性について考察する。
III 研究の構想図
IV 研究の内容と実際
1 学習内容「電流と電圧」と目標分析
先行研究1)やこれまでの指尊から,つまずきやすく定着の悪い単元として,「思考力・計算力」などが要求される「電流と電圧」(中学2年:理科)を,CAI学習ソフトウェアの対象として取り上げることにした。
学習内容の基礎・基本は学習指導要領に記述されている内容をもとにしてとらえ,上位目標と下位目標を設定した。それをもとに,表1のようにコースアウトラインを構成した。
2 CAl学習ソフトウェアの開発
学習内容の『目標分析』をもとに,数種類の教科書で扱っている問題やさまざまな問題集を参考に,具体的な問題を作成した。
このソフトウェアの開発には,FCAIシステム(国立教育研究所開発,学習ソフトウェア情報研究センター提供)を用いた。
開発したソフトウェアのフレームデータファイルの作成で,特に工夫した点は次の通りである。
1. 生徒の思考が連続し理解しやすいように,直前の問題の結果を表示したり,解説画面に問題画面を取り込んだりして,説明・ヒントを書き加えた。
2. 生徒の気づきを促し,自らの判断で学習が進められるように,原則として1つの問題画面に対して,2つ以上の解説画面を作成した。
3. 「つまずきやすい問題」や「解説画面の適切さ」を分析しやすいように,すべてのフレームに「キーフレーム:K」や「説明フレーム:E」など,フレームタイプを設定した。