福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -030/042page

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とめたデータから,以下のような考察が得られた。

 1.(丸囲み) FTS図から,生徒の学習速度には, 1.5〜2倍程度の差があったが,コースが選択できる ソフトウェアであったため,比較的時間調整がつき やすかった。

 2.(丸囲み) FRS図から,そのプロットのばら つきの多いフレームが,つまずきの多い問題である ことがわかる。さらに,そのフレームの誤答 分析をすることにより,その原因を追究する ことができる。また,その原因の中に「内容 の不適切さ」「問いや指示・解説のまずさ」 なども含まれることがある。

問題フレーム300の画面
図3 FRS図(集団記録分析)


 V 研究のまとめ

 1 研究の成果

(1)「基礎・基本をおさえた問題」「コース別学 習」「適切な解説画面」を取り入れたCAI学 習ソフトウェアを開発し,実際に試行すること により,個人差に応じた学習が展開でき,生徒 たちの学習意欲を高めるのに有効であることが わかった。

(2)学習記録分析ソフトウェアを活用することに より,「学習速度の差」「学習到達度の差」 「誤答の内容」など,個々の生徒の実態につい て把握することができ,基礎・基本の定着に関 わる個別学習の支援に役立つことがわかった。

(3)同時に,集団全体の学習状況や傾向を把握す ることができ,一斉指導にも生かせることがわ かった。

(4)また,開発したCAI学習ソフトウェアの問 題点と改善点を明らかにすることができた。

2 開発ソフトウェアの改善点

(1)CAI学習ソフトウェアについて

 1.(丸囲み) 提示画面のスピード,文字の大きさや画面 構成を再検討し,生徒の学習意欲を低下させ ないようにする。

 2.(丸囲み) 問題が生徒の学力にあったもの,多少難易 度の高いものなどに再構成し,コースウェア を設計する。

 3.(丸囲み) 解説画面をもう少しスモールステップ化し, 生徒の思考の支援ができるようにする。

(2)学習記録分析ソフトウェアについて

  ○ 「フレーム番号−ループ回数」,キーフレームを用いた「正誤一時間」のグラフ化など,今回取り組むことができなかった分析についても機能としてつけ加え,より充実したソフトウェアにする。

3 今後の課題

(1)基礎・基本が定着しにくく,つまずきの多い 学習内容について,CAI学習ソフトウェアを 継続して開発する。(例えば,濃度・湿度の計 算問題など)

  その際,そのソフトウェアを使用する授業全体の計画も含めて検討し,基礎・基本の定着に関する検証を行う。

(2)CAI学習ソフトウェアの設計から開発まで 複数の授業者による共同開発の在り方の研究を 行い,よりきめ細かな充実したソフトウェアの 開発を行う。

○ 引用および参考文献・図書

1)「中学校理科のつまずきとその指導」
    長州南海男・武田一美編著 東京書籍 1981 

2) 「CAIソフトウェア作成技法」
            芦葉浪久著 東京書籍 1987 

3) 「FCAI実践シリーズ 学習記録分析編」
            木下昭一監修 文溪堂 1990

※ このソフトウェアを実際に授業で活用してみたい 先生はセンターまでご連絡ください。


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