福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -031/042page

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研修者研究報告

身近な自然や社会とのかかわりの中で,

子供がいきいきと取り組む生活科の指導

郡山市立安子島小学校   佐藤 百合子

I 主題設定の理由

 「自立への基礎を養う」ことをねらいとする生活科は,子供たちが日々生活している身近な地域・生活圏が学習の場となる。そこで,具体的な活動や体験を通して,子供たちが自分なりの願いを持ち,自分で考え,判断し,行動していく主体的な学習が展開される。常に自分とのかかわりで物事をとらえ,やる気や自信を持って対象にかかわろうとすることで,子供に《生きてはたらく力》を育てることになると考えた。

 生活科の内容選択の視点(10項目)にそって 子供たちの実態を調査した結果,地域の実態や 発達段階から,身近な自然や社会や人々とのか かわりが浅く,その子なりのかかわりがまだ十 分できていないことがわかった。そこで,教師 は,子供の実態を十分把握し,「身近な自然や 社会とのかかわり」の中で,地域素材を有効に 活用し子供が興味を持って活動に取り組み,活 動に広がりや深まりがでるよう工夫しなければ ならないと考えた。

 生活科での教師の役割は,一人一人の子供の特性を把握し,個に応じ個を生かす支援を工夫していかなければならない。一人一人の子供には,それぞれの思いや願いがある。教師はそれをしっかりと受けとめ,一人一人の活動を受容し,認めていくことが子供の活動意欲を高め主体性を伸ばしていくことになる。個に応じることが,よさを生かすことになると考えた。

 以上のことから,身近な自然や社会とのかか わりに視点をおき,一人一人の思いや願いを大 切にし,活動や体験を充実させれば,自分との かかわりではたらきかけることができるように なると考え,本主題を設定した。

II 研究仮説

1.仮説

 身近な自然や社会とのかかわりの中で,子 供の思いや願いを大切にした活動を工夫した り,一人一人に応じた言葉かけをしていけば 子供は,自分のよさを発揮し,自信を持って 意欲的にいきいきと活動するであろう。

2.仮説の説明

(1)「身近な自然や社会とのかかわり」とは,自分とのかかわりにおいて,いろいろな学習が展開され,子供を取りまく自然や社会や人々が一体となって扱われる。子供にとって最も身近な地域が学習の素材である。

(2)「子供の思いや願いを大切にした活動の工夫」 とは,子供の興味や関心が活動のきっかけとなる生活科では,自分のやりたいことが認められ,自分の思いどおりにできるのであれば,意欲は高まりやる気が出ていきいきと活動すると思われる。地域や子供の実態を把握し,思いや願いを大切にして弾力的に活動できるよう活動計画を見直し,環境構成を工夫し,活動を展開していくことが大切と考える。

(3)「一人一人に応じた言葉かけ」とは,子供たちは活動を通して,イメージが広がり豊かになっていく。教師は,子供の様々な考え方や表現の仕方など,その子なりのよさを見つけ,賞賛や勤ましの言葉をかけたり,時には,助言や情報  提供するなど一人一人に応じた言葉かけをして


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