福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -034/042page
て活動が展開できた。
あきさがしの場所をまるもりひろばまで広げたことで,学校周辺では気づかなかった,柿の木,栗,きのこなどを見つけたり,ススキや松ぼっくり,そしてたくさんのバッタやイナゴ,とんぼに出会うことができ,活動に広がりや深まりがみられた。
まるもりひろばまでの往復も,これまでの体験活動が十分身についていたため,ふみきりのわたり方,道路の歩き方,歩道橋のわたり方などスムーズに安全にできた。体験の積み重ねの成果が感じられてよかった。
2.(丸囲み) 教師の言葉かけ
たっぷりと秋にひたらせて活動させ,教師はほとんど指示するような言葉をかけなかったことで,子供たちは夢中になって虫とりや秋さがしに取り組むことができ,その子らしさが十分にあらわれた。まるもりひろばの近くに住むA男とC男が中心になって案内し,教え合って活動できたことで,互いに友達のよさに気づくことにもつながった。
《検証授業後の子どもたちの活動の様子》
A男 −−−−− (支援)感動を受容し、ともに活動する。
- つかまえた虫を学校で飼うことになった.すすんでl世話をしていた。また、どんぐりをたくさん拾ってきてくれて,みんなとこまをつくってあそんでいた。その後の活動でも中心になってのぴのぴと表現していた。
G男 −−−−− (支援)活動を見守り、さらに気づきを広げる。
- たくさんとんぽをつかまえ満足していた。しかし、友達がつかまえた虫は飼えるがとんぼは飼うのがむずかしいことに気づいて、やっぱりにがすこととした。
- どんぐりごまをつくるのに挑戦したり、まつぼっくりではりねずみをつくるなど楽しく活動していた。
K子 −−−−− (支援)思いを引き出し、感動を共有する。
- はじめて虫をつかまえたことはとても大きな自信になった。表情も明るくなり、自分の意見を少しずつ言えるようになった。
- はじめてのことに対して、消極的な面がみられるのは、経験していないためなので、なにごとにも取り組ませ、自分もできるんだという気持ちをもたせてきたことで 失敗を恐れずやる気がでてきた。
“まるもりにいって〜”
わたしは、はじめてイナゴ をつかまえました。ちょっと きもちわるかったけど、とっ ても楽しい虫とりでした。
また、みんなといきたいで す。こんどはもっとみつけた いなあ。
V 研究のまとめと今後の課題
1.研究のまとめ
○ 地域素材を生かして単元を構成し活動を展開していけば,子供たちの中には身近な自然や社会を自分とのかかわりでとらえることができるようになった子が増えている。
○ 一人一人に応じた言葉かけをしていくことによって,一人一人をしっかりと見守り見取ることができるようになってきた。その子の持つよさを生かしていこうという思いが強くなってきた。
2.今後の課題
○ 一人一人の思いや願いを生かして活動を工夫していくには,より明確に子供の実態をつかんでおく必要がある。それとともに常に地域の変化に目を向け,最も適切な学習材の選択に心がけたい。
○ 教師の一言によって子供の活動は左右されることがあるので,子供への言葉かけを工夫していきたい。