福島県教育センター所報ふくしま No.115(H07/1995.7) -038/042page
見落とし,文の組み立てや文との関係が不自然な記述も少なくない。また,
- みんなで話し合ってり、意見を出し合ったりできて楽しい授業だった。
- わからないところや考えが違うところがあったが、そこが楽しかった。
という感想もあるが,その成果があまり記述に生かされていない。グループ内での検討の際により具体的な指示が必 要だった。
資料は省略したが,別の説明的文章について同一問題によるテストを事前と事後に実施した。各設問について事後 の正答者数が増えているが,授業の成果によるものかどうか,今後の課題としたい。
V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
(1)新聞作りという学習目標によって,説明的文章の学習に対する喜びを味わわせることができた。また,生徒の学習 意欲を高め,主体的学習活動を促し,成就感を味わわせるうえでも有効だった。
(2)「金星大気の教えるもの」の場合,教材 の特質から読解作業を新聞作りに関連づけるのに適しており,従来の読解指専に偏った単調な学習活動に陥るのを防ぎ,意欲的読解学習に取り組ませることが可能になった。
(3)学習作業の個別化により,自力で文章を検討しながら考え,説明的文章を読む喜びを味わえる生徒が増えた。
2 今後の課題
(1)個々の生徒の読みを練り上げる段階での個別の援助の在り方やグループ内での検討のさせ方について手だてをより具体的にする必要がある。
(2)話し合い学習の計画的,継続的な指導により,司会者の育成,発言力の育成に努め,話し合いを通して自己の考えを確かめたり,豊かにしたりする学習を効果的に進めたい。
(3)新聞作りが適さない教材も多い。それらの教材の特質に応じた学習目標の開発に努めたい。
抽出生徒A女の作品
参 考 文 献
野地潤家著 「読解指導論」 (共文社)
渡辺,北川監修 「国語科の新授業展開」(国土社)