福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -007/042page
る「質問すること」は,「問いかけ」の基本とい う意味で,大きな関連を持つものである。自分に 理解できないことを知ろうとする意欲,発展する 知識を求める知的好奇心,そして問題の本質を捉 えようとする意志がなければ,本当に必要な良い 質問をすることはできない。
下のグラフを見ていただきたい。これは今回の 調査の中の「授業中先生に勉強のことを聞きたい と思ったことがあるか」という問いに対する答で ある。
授業中、先生に勉強のことを聞きたいと思ったことがあるか 「たくさんある」と答えた児童は,4,5,6年 のいずれも7%程度であり,「ときどきある」と いう児童と合わせても半分を超える程度である。 また実際に質問する児童について調べると,さら に半減してしまう。
しかし,授業を活性化し,児童の思考力・判断 力を高めるために,この「問い」の能力を鍛え, 発問・応答のダイナミックスの中で自己表現させ ていくことは不可欠のことのように考えられるの である。
(2)「学ぷことの喜び」
では,いったい,私たちは何を目指して授業の 改善・充実を図り,児童の学ぽうとする意欲を育 てようとするのか,それが2つめの視点である。
次の文章をお読みいただきたい。小学4年、 「算数」の時間でのI 子の感想であるが、この中 には私たちが目指そうとしているものが明確に表 れている。
「面積」の学習のとき,I子は,たての長さと 横の長さをかけると,その中にある1p2の大きさ の正方形の数と同じくなることに気づいた。この 発見は,このときの授業の約束事として最初に発 見したI子の名を取り「I子の法則」と名付けら れた。
「・・・・・・・・・それが、I子の法則になってしまいました。いっしゅんのうちに,自分の顔は笑っていました。自分も今も思っています。法則かできてうれしい。わたしの法則ができてとてもうれしいと,とても思っています。」
一瞬のうちに笑ってしまっているほど,このときI子はうれしい経験をしたのである。しかも彼女にとってそれは,何度も思いだし喜びをかみしめるだけの価値のあることだった。
このI子の喜び,学ぶことの達成感と充実感,そして自然に表現された幸福感こそ,「学ぶことの喜び」そのものに他ならない,と私たちは考える。このような喜びに目覚めるとき,誰に言われなくとも,自分自身の力で自分自身の喜びのために学ぼうとする意欲が生まれるのではないだろうか。そしてそのために,どのような指導が私たちにのぞまれているのだろうか。