福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -015/042page
グなどを積極的に活用して,表現力を育て自信を 持たせることなども考えられるであろう。
(4)作文のまとめ方に,強い苦手意識があり,論 理的に構成することができない。
作文は,児童の基本的な語彙力や文章に対する理解,構想力や創造性といった表現力に関わる総合的な学力が問われれ分野である。従って,苦手意識を持つ児童が多いことは,予想されることである。しかし,「論理的構成力」については,十分な指導上の配慮が必要であろう。
☆「組み立てメモシート」づくり☆
文章の論理的な構成や構想づくりの能力を高め るために「組み立てメモ」や構成表を活用する指 導は,今日一般化され広く行われているものであ る。従って,メモを作ること自体は新しいことで も何でもない。しかし,これを日常化して常に実 施しているかどうかということになると,意外に 面倒であるといった声も多く,必ずしも浸透して いないように思われる。
下の図は,「組み立てメモ」を下敷きにマジックで描き,その上に付箋紙に書いたアイディアを貼り付けていったものである。このシート(下敷き)を,作文の授業中はもちろん家庭での作文活動でも活用させた。付箋紙は,必ずしも多くなくともよいが,全体の構成を念頭において書かせるように指導した。このようにすることで常に「組み立てメモ」を作る習慣をつけることができた。
<1枚に小見出し的に書いて, 構成をたてる>(5年)
作文指導において,「組み立てメモ」を活用することは展開過程については見通しが立てやすく作文そのものも論理的になるというメリットを持っている。もちろんそれだけで良い作文が書けるというわけではないが,児童に対して,論理的な思考を育てるきっかけになると同時に,苦手意識も和らげることができるように思うのである。
いずれにせよ,学習課題の解決は,一朝一夕に できることでない。このことは,熱心に実践され ている先生方ほど痛切に感じられていることであ ろう。しかし,現状を少しでも改善できるように 努力していきたいと考えるのである。
次に,算数について見よう。算数では,間題点として以下の事柄が挙げられる。
(1)6年生の44%前後が,「どちらかと言えば」 も含めて「楽しくない」「分かりにくい」と感じ ている。
算数について,児童たちの多くは「まじめに勉強すると分かる教科」というイメージを抱いている。また,4〜6年生の平均では,61%の児童が,「算数が好き」と答えている。しかし,5年生からはっきりと「嫌い」と答える児童が増えていることも事実であり,6年生では上記のような結果ができているのである。
昨年の中学生を対象とする調査では,「算数に対する好き嫌いの分節点は,小学校3年」という結果だったが,今回の小学生対象の調査も全く同じ結果であり,昨年の調査を裏書きすることになった。