福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -016/042page

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 この原因として,乗法の複雑化や除法の導入な どが考えられるが,詳しい分析は今後の課題とし たい。

(2)上位児,中位児は「他の問題も解こう」という挑戦意欲に乏しく,下位児は「分かるまで頑張 ろう」とする意識が低い。

 本県の算数・数学の基礎学力の到達度の低さがしばしば話題になっているが,到達状況の高い児童が少なく,低い児童が多いという実態と,この挑戦意欲の乏しさがほぼ−致しているところに,大きな課題があるように考えられる。

 その原因についてまで踏み込んだ調査は今回実 施していない。カリキュラムや学校環境なども含 めて幅広い調査が必要であろうし,簡単に結論づ けられるような問題ではないと考えられるからで ある。しかし一つの実態として, 「上位児と中位児の伸び悩みと多くの下位児」 というこれまでも 指摘されてきた課題が,この挑戦意欲においても 改めて裏書きされていることは,真剣に受けとめ る必要があろう。また,少なくとも授業の中です ぐに取り組めることは,積極的に試みていくこと が望ましいことは言うまでもない。

   ☆個に応じた指導「ひらめきランド」☆

 個に応じた指導の一つとして,「ひらめきラン ド」の指導例を紹介したい。

 これは,算数の問題に対してどのように考えて よいのか分からず,当惑している小学校の4,5 年生に対して,低学年の時に使用した算数セット など様々なツールを教室の一角に準備し,操作活 動や友達との協力学習をさせることで,解決の手 がかりを発見させようとする学習である。

ひらめきランド

 図のように,教室の後ろの教師の位置から少し離れたところで,一人で,あるいは友達同士で学習する。準備しておくものは,・タイル・おはじき・数え棒・碁石・ブロック・画用紙・工作用紙・方眼用紙・グラフ用紙・トレーシングペーパーなどである。自由にやらせた方が効果があるように思われる。

 次の作文は,実際に「ひらめきランド」で学習 した児童のものである。

作文

 「ひらめきランド」は,複雑化し高度化していく算数を,もう一度,具体的な操作物などで基堪を確認していく上で効果的である。

     ☆「算数日記」からのヒント☆

 個人差に応じた指導の例を,もう−つ紹介したい。「算数日記」を書かせた指導例である。

 この「算数日記」は,単元の終わりなどに提出させるものであるが,よく理解できないこと,どうしてもうまくいかないことなどを,ノートに図や言葉にして書かせるものである。質問しにくく感じている児童も質問しやすいメリットもある。その際「先生が読んだとき,どこで悩んでいるかわかるように書く」ことを目標に記入させる。

 どこがわからないで悩んでいるのか,はっきり書ける児童は少ないのが現実である。しかし,なんとか先生に説明しようとして書いているうちに問題点が整理されたり,「何となくわかってくる」現象が見られた。また,このノートの目的の一つ


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