福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -021/042page
(A男のつらさを受けとめながら,自信を回復させる面接へとすすんだ。)
- 「A男は何にでも一生懸命だもんな」
- 「・・・・『でも』,どうしたの」
- 「でも,・・・・」
- 「・・・・一生懸命やると・・・・笑うヤツがいたりして・・・・」
- 「・・・・笑うヤツがいたりすると,いやになるよねえ」
- 「(かなり長い沈黙)・・・・でも,このごろまたやってみようかなあって,思うんです・・・・(沈黙)」
- 「・・・・そう,『またやってみよう』って,少し,元気が出てきたのかなあ」
- 「(長い沈黙)・・・・あんまり我慢していると,・・・・やっぱり,・・・・おれはおれだからなあ・・・・」
執拗に繰り返されるいじめによって次第に我慢 の極に追い込まれていったA男が「嫌だ」となか なかいえずに自分一人で抱え込んでいたつらさを 受け止めることに努めた。さらに,「先生たちは 君の味方だよ」という気持ちを伝えて,心の落ち 着きと自信を取り戻させるように努めた。
【B男たちへの指導援助】
[B男との面接] 《生徒指導係・担任》
- 「そうか,自分の学級がおもしろくない」
《B男》
- 「そう,おれなんか何やっても,相手にされねんだ。A男なんか,まじめくさっててよ。おもしろくねえ」
- 「・・・・A男がまじめで,おもしろくない・・・・」
- 「んだあ,みんなおもしろくねえって思ってるよ。みんな・・・」
- 「う〜ん,おもしろくないから,A男を困らせたっていうことかなあ・・・・」
- 「・・・・うう〜ん,だって,何にもおもしろいことなんかねえし,でも・・・・(沈黙)」
生徒指導係が中心になり担任とともに.B男た ち3人から一人ずついじめの事実を確認しながら 話を聴き,それぞれの不満を受け止めることに努 めた。さらに,A男の気持ちを思いやりながら自 分の行動を見つめさせることに努めた。
【学級への指導援助】
* 授業を行う教師の心構え
生徒一人一人の自己存在感が満たされていない という気持ちが,いじめの一要因になっていると 考えられるので,授業の中で一人一人の考えや意 見を大切にするように努めた。授業は各教科担任 の協力が必要なので,学年会で共通の取り組みが 行われるように次の3点を確認した。
- その子の持ち味を違いと認め,一人一人の答えを大切にする。
- 姓名で指名し,番号や「その前・後・隣」という指名は避ける。
- 一人一人の名札を準備して,授業の中で全員の名札を貼付し一人一人を認め励ますようにする。