福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -022/042page
* 「学級活動」を利用した取り組みの一例
右の資料に示したように,1つの設問に対して 4つの選択肢を用意し,自分の考えに最も近いも のを選ばせた。選択後,選んだ理由を級友の前で 述べさせ授業中に全員が話をする機会を作るよう にした。この中で,普段一緒に生活している級友 の意外な一面を発見させたり,同じ選択をしても 様々な理由(考え)があることに気づかせたりし た。
このような取り組みを積み重ねることによって, 生徒一人一人がお互いを知り合う機会とした。
【どれにしようかな?】
(学級活動で実施・一部のみ掲載)
○ どの季節が−番好きですか。 >>> ・春 ・夏 ・秋 ・冬
○ どこに住みたいですか。 >>> ・都会 ・郊外 ・農村 ・山の中
○ どこの国へ一番行きたいですか。>>> ・イギリス ・モンゴル ・アメリカ ・ブラジル
5 まとめ
本事例では,いじめを解消する方向に導くことができた有効な指導援助として,特に次の2点が指摘できます。
○ 担任などがいじめを受けたA男やいじめを行ったB男たちの気持ちを受け止め,生徒理解を深めながらかかわったこと。
○ 教職2年目の担任を学年主任や生徒指導係が側面から支え,学年あげて組織的にかかわったこと。
「相手が嫌がることをする,させる」のいじめに対する児童生徒への指導援助の留意点
- この型のいじめは,集団の中から異質なものを見つけてこれを排除しようとする意識が強く働いている。いじめを行う子どものみならず,学級集団全体的に対して一人一人の考え方は多種多様であることを理解させていくことが大切である。
- 長期にわたっていじめを受けた児童生徒は,精神的にかなり疲れた状態に追い込まれている。そこで,その子の置かれた状況に目を向け,その子の心に寄り添いながら心の痛みを受け止めてやる必要がある。面接をすすめる際,本号で紹介したような対応が望ましい。
- いじめを行う児童生徒は,学級で自己存在感を味わうことができずに大きなストレスをため込んでいる場合が多い。そこで,面接の中で自分の心の状態を探らせたり,ストレスを解消させていく必要がある。
- 教師に[横並べ]意識が強いと,気にとめないうちに個性的な子どもをけむたがる言動をとることがある。「一人一人が違って当然」という意識を大事にしていく必要がある。