福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -030/042page

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けど「〜だよ」「〜よ」と言っているとこ  ろも「妹」は死んでいるんだから,影には悲しさがあるんじゃないかな。       

 話し合いの後には,自分のワ一クシートの空欄の部分や気づいていなかったことばなどを記入できる時間をとった。                                                      

5 考察

(1)学習の手引きと書き方の例,ワークシート等の活用について

  • 誰にでもできるようにわかりやすかったから,今後もこのやり方でいいと思う。
  • 自分の考えがよくもてるようになり,自分の考えを発表できるということは大変いいと思います。
  • このやり方だとなんだかやりやすかったし,自分で書いたものを覚えている。
  • 考えるのが多くて難しかった。   

 上の記述は,自由記述によるアンケートであるが,手引きを使い,書き方の例にしたがって,ワークシート等に書き込められるようにしたのは,学習の仕方をとらえさせる点では有効であった。この学習の仕方がやりやすかった生徒もいるが.難しかったとする生徒もいた。ワークシートの書き込みを見ると,特に<根拠となることばについての説明>が難しいようであった。まだ慣れていなかった面もあると思われるが,この部分は今後再検討し,手だてを考慮していかなければならない。

(2)三つの要素を持った発言による話し合いについて

 三つの要素を持って発言する生徒が出てきた。 また,発言の<根拠となることばについての説明 >の部分には,その生徒なりのとらえ方が出てい た。例えば,Clの発言のように,自分の生活経 験を通して考えた内容が出ていたり,C2〜C5 の発言のように表現の特徴をとらえ,その表現の 意味づけをしたものが出ていた。また,C6のよ うに,A子(C3)の発言の<根拠となることば についての説明>の部分から,読み取りが触発さ れ,さらに読み取りを深めた発言も出た。

 自分の考えを発言することができなかった生徒もいるが,ワークシートの書き込みの内容から,ことばを大切にして読み取っていく意識が生徒に広まってきたようであった。

6 成果と課題

・ 三つの要素を持った発言をさせたことは,読み取る際のことばへの着目の仕方を教師の方で教えて,生徒がそれを知って終わるという学習ではなく,生徒自身が自らことばへの着目の仕方について振り返り,意識化する学習になった。

  また,発言の中の<根拠となることばについての説明>の部分には,生徒自身がとらえたことばへの着目の仕方が多様に表れていた。

・<根拠となることばについての説明>の部分をよりとらえやすくし,生徒にことばへの着目の仕方をさらに明確に意識させることができるような手だてを講じる必要がある。例えば,教師の方からことばへの着目の仕方を与えたり,生徒の発言を教師が<根拠となることばについての説明>を入れてとらえ直して示したり,生徒に「なぜそういえるのか」と補助発問をしたりなどして,慣れさせていくことが必要と考える。

  今後,継続的な取り組みをしながら実践していきたい。

*参考文献

 『教育新書 言語論理教育入門』井上尚美著 明治図書


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