福島県教育センター所報ふくしま No.116(H07/1995.11) -031/042page

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研修者研究報告

初めての問題解決学習になじませる一方策

−「問題解決の木」とノートを活用して−

岩瀕郡天栄村立天栄中学校    酒 井 幸 子
(前南会津郡田島町立田島小学校)

I 主題設定の理由

 自分がこれまでに使ってきた1時間単位の「理 科学習のしかた」の手引きによる問題解決学習の学習方法訓練では,以下の4つの理由から不十分 であったと反省する。

  1. 1単位時間の学習の流れが分かっても,単元全体の視野から見た本時の学習の位置がとらえにくい。  
  2. 小単元同士の相互の関わりがとらえにくい。 
  3. 課題作りや学習計画作りの過程が性急なために,児童の課題意識が高まらない。自力解決の見通しも立てずに活動に入るので活動の意味を見失いがちである。  
  4. 練り上げの場が工夫されていないため,友達の追究のしかたに関心が向きにくい。

 そこで,単元全体を見通した問題解決の過程と 1単位時間での問題解決の過程を併用させるよう な手だてが必要と考え,前者を「問題解決の木」 に,後者を「ノート作り」に意図することで問題 解決学習のしかたに慣れさせることをねらった。

II 研究仮説

 「問題解決の木」とノート作りを活用し た学習活動を工夫すれば,問題解決学習のしかたが身につくであろう。

「問題解決の木」の作り方

1. 単元導入時に特設の1〜2時間を使って単元全体を見据えた事象提示や自由試行活動を工夫して取り入れる。

  ここで気づいたこと,感想,これから調べてみたいことなどから各自の「学習課題」を設定し,「葉」の短冊に書く。

  このとき,必ず,括弧書きで自分の名前を付けさせ,後で授業のたびに「〇〇君(さん)の見つけた課題」と呼ぶこと

  にする。

2. 学習計画全体を大きな「木」に見立て,理科室の掲示板に設営する。

  みんなで1.の「葉」を整理・類別化しながら,それぞれの「幹」に貼りつけていく。

  次に,それらの「葉」のまとまりに共通する内容について話し合い,「幹」の部分に分かりやすい小見出し(すなわち,

  小単元名に近いもの)を記す。

3. 学習の順序と各配当時間をみんなで決める。

4. 一枚の「葉」の学習課題について数種類の解決方法が出てきたときは,その「葉」から 「解決方法」の「枝」を伸ば

  す。

5. 解決して分かったことを「赤い実」に記述し,ここで一通りの問題解決学習が終結する。

6. 以下,同様のプロセスを繰り返し,「問題解決の木」は問題解決をした分だけ,「赤い実」をつけることになる。


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