福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -006/042page

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豊かな授業づくりのためのコンピュータ利用

 

科 学 技 術 教 育 部

1 子どもの願いと教師の願い

(1)『願い』がかなうとき

 子どもはもともと「何かわかりたい」「何かできるようになりたい」「今より上手になりたい」など,成長したいという『願い』を強くもっている。

 また,教師も「わからせたい」「できるようにさせたい」「成果を認めてやりたい」など,子どもたちの気持ちをかなえることにより,子どもたちが豊かな人間として成長することを強く願っている。

 このような『子どもの願い』と『教師の願い』がうまく結びつき,かなえられると,次への授業に寄せる『双方の願い』や思いは大きく膨らみ,子どもの意欲がますます高まり,子どものよさが生き,伸びていくものと考える。

(2)『遊び』のチャレンジから豊かな学びへ

 豊かな学力を育てる学習活動のモデル校として,都内のある小学校の例がある。

 この小学校は,「開かれた学校」「体験学習」「オープンスペースの学習」「ティームティーチング」「課題選択学習」など,新しい学習内容・方法を統合させながら学習過程を作って豊かな学力を育てる学習活動を実施している先進校である。

 この学校の研究「豊かな教育活動の推進」の中 で「チャレンジ活動」を取り入れている。この活 動では「子どもたちが学校生活で一番喜ぶことは 何か,それは『遊び』だ」と考えた。

 ここでの『遊び』は「チャレンジ」と名付けら れ,毎日始業前15分間自由に遊ばせる。一人で遊 べるもので,子どもたちは好きなものを自由に選 ぶことができ,自然に同じ遊びの仲間ができ,教 え合いや競争が生まれる。そして,技術も向上す る。教師は子どもがアドバイスを求めない限り決 して教えない。

 「チャレンジ」の内容としては,パソコン,マラソン,鉄棒,なわとび,バスケット・シュート,お手玉,折り紙,読書,けん玉,あやとり,竹馬,自由研究と豊富である。

 この中の「パソコン」の活動内容は,自己紹介カード作り,お絵かき,絵本づくり,キーボード の操作練習ゲーム,ゲーム大会などである。

 子どもたちはこの活動を通して,パソコンの使い方を学び,表現するためのツール(道具)としてパソコンが使えるようになった。子どもたちが,課題解決活動の中で自然な形でコンピュータを活用することにより,コンピュータは,子どもにとって自らを成長させるツールとなった。

 また,教師は子どもたちに対して,パソコンの操作が簡単に行える環境や,使い易いソフトをそろえるなどの条件整備に努めた。つまり,課題を解決するためのツールやそれに必要な情報を,子どもがいつも使えるように,手の届くところに整


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