福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -008/042page
足感や成就感,さらなる学習意欲の高まりがある か』
ここでは,その子なりの見方・考え方・わかり方を大切にしたい。
つまり,問題解決的学習の過程の中で,子ども一人一人が「その子なり」の取り組みができることが大切なのである。
2.課題意識を生かし,育てる
このように「その子なり」という子ども主体の授業を展開するに当たり,教師は「いかにして子どもの多様な学習活動を仕組み,支援できるか」という授業の在り方を追究していく必要がある。別の言い方をすれば,「子どもにとって必要なものは何かを側面からとらえ,子どもがそれに接近できるように,授業を組織する」教師の姿勢が強く求められている。
このような学習過程での問題として,子ども一人一人の「課題意識」を高め,解決方法を見通した「課題づくり」をどうするかを考えなければならない。そのための導入段階には,
- 驚きや意外性のある事実・事象の提示
- 本物の教材の提示
- 教科の本質に迫る課題の提示
など,様々な工夫がなければならないし,同時に, 出された問題を子どもたち同志の話し合いで課題 まで練り上げる学習が大切である。
(写真は・福島市立福島第四小学校の様子。なお本文と写真は直接関係ありません。)
3.個への対応を吟味する
このように練り上げられた課題が,子ども自身のものとなり,具体的な追究が始まる。
一人学びを基本にし,多様な学習活動を支えるため,教師は,観察や対話を中心に学習記録などから,子どもの追究状況を把握しなければならない。この「子どもをみる目と心」を教師は大切にしたい。
例えば,小学5年生「五角形の内角の和」の授 業で,数学的な考え方に対する子どもの次の3つ の反応が考えられる。
- 「五角形も四角形と同じように三角形に分割すれ ばいいのかな?」
- 「とにかく,いろいろな五角形について調べてみ よう!」
- 「三角形や四角形の性質をもとにすれば,きっと 説明できるよ。」
ここで,教師は,一人一人がどのような考え方によって解決しようとし,どんなところでつまずいているのか把握しながら,「その子なり」の見方・考え方を生かす支援をしていく必要がある。
さらに,友だちとのかかわりを持たせ,自分の考えを確かめさせながら学習を進めていくことが大切である。
学習の過程で,その子なりの見方・考え方を生かして,その子なりの学習を支援するためにコンピュータの特性を生かすことは,きわめて有効な方法のひとっであると考える。
4.コンピュータを生かす
「その子なり」を大切にした子ども主体の多様 な学習活動を引き出すため,コンピュータの特性 として,次の2つの内容が大きく関わっている。
ア コンピュータは学習者の適性に個別に応じることができること。つまり,学習者の学習スタイル,興味・関心,進度等,個に応じた学習を実現してくれる。
イ コンピュータは多様なツールを用意してくれること。1つのコンピュータで「お絵かき・グラフィック」「情報収集・処理」「シミュレーション」「通信」等,多様なツールとして活用