福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -012/042page
「実験場面での計測機器としての活用」
郡山市立金透小学校
1 研究のねらい
子どもたちは温度を測定し,グラフを作成す るということに意識を集中し,物質の状態変化 を観察することは十分とは言えない面があった。
そこで,一人ひとりが観察・実験に集中し, 現象の変化を見つめて新たな驚きや疑問を抱き, 科学的な見方・考え方を深めていくためには, 次のような授業を展開していく必要があると考 えた。
(1)物質の状態変化の観察に集中できるように するために,計測機器の一つとしてコンピュ ータを活用する。
(2)実験結果を即時に比較検討し,科学的な見 方・考え方を深めるような話し合いの時間を 十分に確保する。
2 研究の内容
第4学年「水のすがたとゆくえ」の単元にお いて,以下のコンピュータを利用した学習を展 開した。
- パソコン各班1台
- キュープセンサー(液温センサー) (スズキ教育ソフト理科実験計測セット)
- 大型モニターテレビ
(1)計測器具の一つとしてのコンピュータを利用する。
棒温度計の代わりにコンピュータを使った水の沸点・氷点温度計測を行う。1秒間隔で 温度変化を記録し,リアルタイムにその計測結果をグラフに表す。これにより,子どもたちを水の状態変化の観察に集中させることができる。
(2)実験結果を即時に比較検討する。
コンピュータで作成したグラフをすぐに提 示し合うことによって, 温度変化についての話し合いの時間を十分に取るようにする。それによって, 一人ひとりが現象を見つめて科学的な見方・考え方を深めることができるようにする。
3 研究の成果
〇 1秒間隔で温度変化を計測することができたため.沸点近くまでの急激な温度上昇と沸 点近くでは温度が一定になることとの比較が容易にでき,子どもたちの印象に強く残った。
○ 水の氷結実験では,棒温度計の数値が読みにくくなってしまうことがよくあるが,コン ピュータによる計測では,画面で温度を確認することができ,0度で一時温度が一定にな ってから下がり始めることも容易にとらえることができた。コンピュータを特別なものと してではなく,実験装置の−つとして用いることが意識づけられてきた。
○ コンピュータでグラフを瞬時に作成することができるため,グラフをもとにした温度変 化についての話し合いや水の状態変化など,お互いに気づいたことについて話し合いをす る時間が十分に確保できた。
さらに,小さな変化も見逃さずに「なぜだろう」「調べてみたい」という思いや願いを いっそうふくらませることができた。