福島県教育センター所報ふくしま No.117(H08/1996.2) -014/042page
「創作や表現活動を通して 個のよさを伸ばすツールとしての活用」
湯川村立湯川中学校
1 研究のねらい
本校の美術科では生徒一人ひとりの個を生かす学習活動を大切にしたいと考え,表現・鑑賞領域共に多様な学習活動を計画・実践している。コンピュータについても主に表現領域で活用した。
コンピュータグラフィックスの作品そのものは「手触り・表現」がないものであるが,構想を練りあげる段階で,創造的な思考や活動を支援する「道具」として活用すると,生徒達の主体的な制作活動に生かすことができる。そこで鑑賞領域にコンピュータによる表現活動を加えることが,生徒一人ひとりの「鑑賞の視点」を授業の中から発見し(自己課題の解決),美の探究の中から自分なりの見方・考え方を高めることができると考え,本研究を進めた。
2 研究の内容
(1)創作・表現活動を取り入れた鑑賞領域での指導
- 美術館の社会的な役割・機能を理解し,自然環境との調和を考え, 生徒個々の発想を生かした独創的な美術館をデザインする。
- グループ別に美術館・展覧会を構想・企画し,美術館紹介を行う。
(2)個のよさを伸ばすコンピュータ活用の工夫
1.創作表現に活用
◆地域の環境を把握し,美術館周辺のマップの構想・制作
◆美術館の建物の形・材質・色等の構想・制作
(作品はカラープリンタでペーパークラフトに立体化し完成させた)
◆グループ発表の提示資料・データの制作
- 美術館紹介・館内案内図・展覧会の趣旨
- 展覧会ポスター・展示会場図
- 作品解説等
2.プランの練り上げに活用
◆グループで美術館・展覧会を創る「場」
(グループ活動でアイディア[個人情報]を交換し,練り上げる「場」[手段]として活用した)
3.各グループのプレゼンテーションに活用
◆各グループの美術館で開催する展覧会のプランを室内ネットワークで発表提示
3 研究の成果
口鑑賞の授業が生徒主体の活動の場となった。
□生徒達はそれぞれに問題意識をもって自分の考えで制作に取り組み,個性あふれる作品を表現することができた。
口個人のフロッピーディスクから,それぞれのアイディアを互いに持ち寄り,グループで検討し,よりよいプランを実現させようとする態度が身についた。
口コンピュータでの表現活動を土台に,実際の材料を使った作品づくりへと広げることができた。
口生徒達の自己表現や自己実現を支援するツールとしてコンピュータを活用することができた。